BL
□甘いのなんて大嫌い
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明日はバレンタインデー。
「…俺には何の関係もないイベントだなー…」
昼時で混み合う食堂の席に座り、カルボナーラをフォークにくるくる絡めながら、ライルはぼそりと独り言を言った。
隣に座ってそれを聞いていたアレルヤは、ライルを心配そうに見つめる。
「ライル…、独り言ばっかり言ってるとそのうち電池になっちゃうよ?僕のように。」
アレルヤの台詞にライルの手の動きが一瞬止まる。
「…お前、この場面でその発言は無いだろ普通。」
「え、じゃあ何て言えば良かったのかな?」
「………。別に慰めてほしい訳じゃねーけど、せめて非リア充の俺を労うとか、さぁ…」
はぁーっと大きなため息をつくライルに、アレルヤはやんわり微笑む。
「大丈夫だよ、チョコレートなら僕が作ってあげるから」
「チョコレートが目的じゃねーんだよ。もっと根本的な所で充足感を得たいの、俺は。
…だいたい、お前は毎年全員に配ってんだろ?所詮は義理じゃん」
「…………。もしかして本命がほしいんだ?」
アレルヤが何の気なしに言った。
その発言にライルは「うっ、」と言葉を詰まらせる。
「ど、どうかした?」
微妙に顔が赤いライルを見て、アレルヤが慌てる。
そんなアレルヤにライルはもう一度ため息をつき、隠すように顔を背けて口を開く。
「…………本命ほしいに決まってんだろ。
………まぁ、別にお前からほしいとか…、そんなんじゃないんだけど……」
「……?ごめん、最後の方聞こえなかった。もう一度言ってくれる?」
「…あーもういいよ!!知らん!!」
ヤケクソ気味にカルボナーラをばくばく食べるライル。
フォークに絡めることすらも忘れ、勢いに任せて食事に意識を無理やり集中させている。
そんなライルに、アレルヤは戸惑いつつも何も言わなかった。
アレルヤの胸中には「何か気に障ること言ったかな?」という言葉が浮かんでいた。
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