BL

□表には出さないけれど
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AM:5時25分






―――ロックオンのことが好きで好きで仕方ない。


とか。


早朝、アラームも無しに目が覚めて、そんなことを唐突に思う僕。


………って、何故。


…あ、そういえば。


……なんだか、さっきまでロックオンの夢を見ていた気がする。


しかもかなり幸せな夢だったような気が……。


気のせいだろうか。


……気のせいじゃないと良いけれど。


「……………。」


とりあえず、ゆっくりとベッドから起き上がる。


何故か体の節々が痛い。


寝ている間にどこかにぶつけたのだろうか。


…僕は別に寝相が悪い訳では無いはずなんだが……。


夢を見ている最中に…悶え動いてぶつけた……とか?


……いやいやいや。


無い。無いな。…無いだろう。


うん。無い無い。


軋む体とぼんやりする頭を引きずって、とりあえず着替えることにする。


着替えながら、ロックオンのことを考える。


今日は話し掛けてもらえるだろうか。


彼の、あの優しい笑顔は見れるだろうか。


話し掛けてくれたら嬉しい。


笑顔が見れたら、もっと嬉しい。


………………。


…………


…って、何故こんなことを考えているんだ、僕。


どこの乙女だ。


もしくはどこの中2病だ。


「………はぁ」


思わず、ため息をついた。



着替え終わって鏡を見て、…ちゃっかり顔が赤くなっているのに気づく。


「…なんでだ」


や。理由なら分かっているんだが。


けれどどうしてもイマイチ受け止められない。


……、でも…ロックオンはあんなに素敵な人なんだから…、


好きにならない方がむしろ、おかしい気がする。


優しいし。綺麗だし。頼りになるし。


気遣いが出来て、なのに肝心な所では鈍感だったり。


いつも飄々としているけれど、…本当は熱い人で。


意外と真面目な所もあったりするし…。


………駄目だ、このまま彼について語っていたら昇ったばかりの日が暮れかねない。


よし、考えないようにしよう。


考えれば考えるほど顔が真っ赤になって、人前に出れなくなってしまう。


……まぁ、ロックオンと2人きりになろうものなら、自然と真っ赤になってしまうのだけれど。


皆の前ではせめて隠していたい。


…すでに誰かに彼への想いを見破られている可能性は無視する……無視したい。



鏡の前で髪を整えながら、心を落ち着ける。


ロックオンとは全然関係ないことを考えるように努力する。


…なんだか膨大な努力を必要とした。


最終的にヴェーダのことやら計画のことやら今日の晩御飯のことやらについて考えることで、落ち着くことに成功した。


「…よし。……まだ少し早いが、朝食でも摂るか」


「よっ、ティエリアおはようさん!」



「わぁっ!?」



「…そんなに驚かなくても良いんじゃねーか?」


いつの間にか部屋の扉が開いていた。


扉の向こうの廊下に、ハロを片手で抱えたロックオンの姿が見えた。


………今日も相変わらず絵になるくらいカッコいい……


じゃなくて!!!


「なななな何故貴方がこんな時間に僕の部屋に……!?」


ていうか部屋には電子キーがかかっているはず……


まさかハロか?


ハロが開けたのか、だとしたら凄すぎないか!!?


「…いや。なんか俺、今朝は早く目が覚めちまってさ。
暇だったからなんとなくティエリアの所に来てみたんだが…」


「…………暇、だから?」


え、僕なんかが貴方の暇潰しになるんですか?


なんだか恐縮だ。


けれど僕の言葉の意味はロックオンには間違って伝わったらしく、彼は慌てて言葉を付け足す。


「あ、いや、別に暇だからってティエリアの睡眠妨害に来たとかそんなんじゃなくてな!?
お前が寝てたら、次は刹那の所にでも行こうかな〜って思ってたから!」


「……………。」


起きてて良かった。


早起きは三文の得……っていうか100万円くらいの得だ。


いや、でも。


早速2人きりになったこの状況、


僕はどうすればいいのやら。


……あっという間に顔が真っ赤に火照るのが、余裕で分かる。


いや、ある意味余裕なんか無いけれど。



「…ティエリア?何でいつまでも黙ってんだ?
やっぱり迷惑だったか…?」


こちらを恐る恐る伺うロックオン。


「め…迷惑じゃないです。」


どもりながら言う僕。



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