BL

□一緒に、居よう?
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9月。


まだ残暑が厳しい。


僕は久しぶりの地球での休暇であるこの日、とある街に来ていた。


「あぢ〜…。ティエリア、こんな暑い中でよくカーディガンなんか着てられんなぁ…」


隣を歩くロックオンが言う。


彼はといえば、まだ半袖の涼しげな服装だった。


……というか何で、この人はついてきたんだろう。


「…ロックオン、あなたも少しは紫外線を気にしたらどうですか?
太陽から届く有害光線を浴びて皮膚ガンの危険にさらされるくらいなら、少々暑くても長袖を着るべきです」


「んなこと言われてもなあ…。
大体、こんなに暑いのに長袖なんざ着込んだら熱中症になっちまう」


「定期的に水分・塩分・ミネラルを摂取すれば問題ありません」


「……。この健康オタクめ…」


「………何か言いましたか?」


「な、何でもありません。」



街をてくてく歩いていく。


行く宛は特に決めていなかった。


ただ、ロックオンと喋りながら歩いているだけで、暇は潰せた。


…と、いうか。


むしろ楽しいかもしれない。


「……いやいやいや、何を考えているんだ僕は……」


「どうかしたのか、ティエリア??」


「…………。」


…む。そういえばロックオンは楽しいとか思っていないのだろうか。


よくよく考えてみれば、僕と違ってこの人は誰とも親しく話すことの出来る人だ。


…だから、特定の人間と話していて楽しい、なんてことはないのかも…。


「なあ、ティエリア」


考えことをしていたら、ふいにロックオンに話しかけられた。


……び、びっくりした…。


「…ど、どうかしました?ロックオン」


「けっこう長いこと歩いたし、そろそろどこかで休憩しないか?」


ロックオンはにこやかに言った。


「……はい。さすがにこれ以上歩くと疲労が溜まってミッションに支障が出るかもしれませんからね」


それに比べて、僕の返事は素っ気ない。


というか、セリフがいちいち長くて堅苦しい気がする…。


…本当は、笑顔には笑顔で返したい、けれど。


ロックオンの前だと、何故かムスッとした表情しか作れない。


謎だ……。


「…おい、ティエリア。またぼーっとしちゃってんじゃねぇか。
…何?俺と居ると楽しくない?……つまらない?」


ロックオンの表情が、笑顔からちょっと怒ったような表情に変わる。


そんな様子を見て、僕は大慌てで否定する。


「ち、違います違います!僕はロックオンのことを考えていただけで……!」


「え。」


「あ。」


「………………。」


………………、


……僕は…万死に値する………っ


「…おいおい、本人の前でそんな考え事してんなよな…。
つか、俺のこと考えてた…って、どんなこと?」


呆れつつも、ロックオンはまた、見てて安心するような笑みを浮かべてくれた。


……正直、見とれてしまうかも…。


「って、あああ!!だから僕は何を考えているんだぁああ!」


思わず頭を抱えてしまう。


「え?え?だからどんなこと考えてんだお前!?」


ロックオンにドン引きされているのが、声を聞いただけで分かった。


…………万死っ。


「あのー…、ティ、ティエリアさん?とにかく落ち着け、落ち着こう。
ていうか冒頭部分のクールなティエリアさんはどこに行ったー??」


「……し、深呼吸、深呼吸だ、僕っ…!
すーはー…、すーはー…げほがはごほっっ」


「深呼吸にすら失敗してるし!!
大丈夫かティエリアしっかりしてくれっ!」


……5分後。


ロックオンが背中をさすってくれたおかげで、僕は少し落ち着いた。


というか背中さすってもらえて棚ボタだった(←


「お、ちょうど良い所に公園が!
よしティエリア、あそこで休憩しよう」


「は、はい…」


よろよろと公園のベンチまでなんとか辿り着き、座り込む。


何のためらいもなく、ロックオンが僕のすぐ隣に座る。


………なんか近すぎる気がする……




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