BL

□シークレット
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「――…んっ」



迷うことなく、内側に舌を差し入れる。

そうして探るように、少しずつキスを深くしてゆく。

やがて最初は躊躇っていたライルも、徐々に自分から舌を絡ませ始めた。



「……、……んんっ……、」



互いに、貪るようにキスを続ける。

水音が立っても気にせず、甘い味にひたすら溺れた。

どんなにしても足りなくて。

どこまでも、欲しがった。



……やがてライルが唐突に唇を離した。

唾液が糸を引き、ライルの口の端からも溢れて伝っていく。

その様子が酷く官能的で、どくんと身体が疼いた。



「……兄さん、もうやめよう…?………俺、明日からまた、忙しくなるし」



そう言いつつ思い切り寂しげな表情で俯いていて、ちっとも説得力がなかった。

……大体こんなに近くにいて、ライルが続きをしたいことが分からない訳がない。

素直じゃないようで本当は素直なライルに、俺は無意識の内に微笑む。

―――可愛いやつ。

こんなに可愛いのに、今さら逃がしてやれる訳がないだろ……。



「……大丈夫だって。」



俺は慰めるようにライルの頭を撫でる。

撫でながらも絶対に離すまいと、ライルの腰に回したもう片方の手に力を込めた。



「とけそうになるくらい、優しく抱いてやるから。」



そう言って、俺はライルの身体を抱きしめた。

――ふと、耳元にとても小さな声が届く。

聞こえるのがやっとな程の、微かな声だった。

ほんの少しだけ泣きそうな声に聞こえたのは、気のせいだろうか。




「………兄さんは、いつだって優しいよ」









おわり。



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