BL
□シークレット
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ライルの部屋のドアにはキーロックがかかっていた。
「ライルー、いるなら返事しろー」
ドアをノックして声をかけてみた。
……しばらく待ったが応答がない。
部屋にはいないのだろうか。
ミス・スメラギによると外出許可の申請はしていないそうだから、トレミー内に居るのは間違いないのだが。
「こんな時ハロがいれば、ライルの居場所くらい……」
俺が呟いた瞬間、前触れもなく部屋のドアがスライドした。
開いたドアの向こう側に、不機嫌そうな表情のライルが立っていた。
部屋の奥では今はもうライルが所有者になっているハロが、ごろりと転がっている。
「何を当然のようにストーカー発言してくれちゃってんだ、兄さんのアホ」
「アホて……。つか居るなら返事しろよ。」
「………寝てたんだよ…」
眠そうに瞼をごしごし擦るライル。
子供っぽい仕草が可愛かった。
油断しちゃってんだなぁ、ライルくんは。
「…で、何の用だよ?」
ライルが俺を睨みながら言った。
警戒心あらわという感じだ。
何故警戒されているんだろうか。
謎だ。
もしかして、セクハラされるとでも思っているのだろうか……。
だとしたら、兄として非常に心外だな。
胸中でため息をつき、俺はライルの質問に答える。
「セクハラしに来た(キリッ)」
「帰れ。」
部屋のドアが勢いよく閉まった。
キー操作で開閉する電動式ドアのはずなのに、何で勢いよかったんだろうか?
「…え、ちょ、ていうか開けろよライル!!お兄ちゃんが入れないだろ!!」
ドアをばしばし叩いて抗議する。
もういい加減で片手に持った酒瓶がうっとうしくなってきた……。
直後、ドア1枚隔てた向こう側から、ライルが返事をしてきた。
「あーもうその台詞からして既にエロいんだよ!!帰れ!!」
「何でだよ!!?」
兄の台詞を元にエロい想像をするライルくんの方が、よっぽどどうかと思うんですけど!?
「とにかく開けろって!さっきのは冗談だから!!」
「………信用できねぇっ」
「じゃあ…どうしたら信用してくれんだよ?」
「どうしても信用しない。」
「……。」
どうする。
どうすればいいんだ俺。
部屋に入るという基本中の基本でさえ攻略できてない今の状況って一体……。
弟ルートの攻略サイトとかねーのかな。
「ライルー……」
どうしようもなくなって名前を呼んでみた。
無意識の内に、落ち込みモード全開の縋るような声になっていた。
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