テロリストの子育て

□第4話
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しんしゅけ様達とくらしています

わたしには気になる事があります

しんしゅけ様は白い布で"おめめ"をかくしています

きっと"おめめ"が痛いんだ

ばんざい先輩もまっくろくろなメガネで"おめめ"をかくしてる

なんで?なんでかくしちゃうの?

まっくろくろいのつけてても
まえが見えてるの?
どうして転ばないの?
見えなくてもあるけるの?
しゅごい
しゅごい
にんじゃみたい

でも、なんでかくしてるの?
ねぇ?なんで、なんで、なんで?
何でも知りたいお年頃
例え今が夜中だろうがなんだろうが関係ない
今すぐに知りたいのだ


『しんしゅけ様、おきておきて!』
「zzzz」

明らかな寝たふりでも純粋な子供は騙されてしまう

『おきなーい……なんでぇ?』

"う〜ん"と考え込み……
閃いた‼️

『しんしゅけ様のおかお大きいなぁ』

ペチーーー

顔に手を添え

『ちゅ、ちゅ、ちゅう!』

小鳥のような可愛らしいキス
寝たふりを決め込んでいてもこれには白旗があがる

「おい、何やってんだ」
『あっ!おきたーー♪しんしゅく様おきた?』
「夜中だ、でけぇ声出すな」
『ごめんなさぁい、あのね。
王子様のチュウでお姫様は起きるって今日、たまこちゃんが言ってたからやってみたの!』
「俺ァお姫さんじゃねぇよ」
『でも起きたよ!』

昼寝をさせたせいか夜中なのに元気な三歳児

「で、なんだ?厠か?」
『ちっがーうよー!れでーにそんな事聞くなんて"しつれい"っス』

確実に来島の影響だろう
なんでも吸収しようとするコイツの発言にたまに驚く

「じゃあなんだ?」
『ばんざい先輩はなんで"おめめ"隠してるの?おめめ見えなくて転ばないの?なんで?しゅごいよね!?にんじゃなの?』

凄い、凄いと褒めるのが……
正直気にくわない

アイツはただのサングラス
俺ァ左目隠しるが剣の腕は劣らねぇ
どーだ、俺の方がすげぇだろ

と言ってやりたい所だが、それだと俺が必死になってるみてぇじゃねーか

ここは一つガキをからかってみる事にした

「そうだよな、目がある。アイツの眼鏡は黒いだけでただの眼鏡と変わらねぇ。ちゃんと前も見えてる」
『そうなの?なぁんだ。でも何で黒いの?』
「あれはカッコつけて色塗っただけだな」
『あー……あぁ、ね』

そう言って俺の左目を控え目に指さしフッと笑う

「おい待て俺と一緒にするんじゃねぇよ」

誰がカッコつけて包帯なんざ巻くか
クソガキ……。

「普通眼鏡の下には何がある」
『おめめ!』
「そうだよなぁ、だが万斉は違う。あのサングラスの下はなぁ………真っ黒の穴だ、空洞になってんだよ。どうだ?不気味だろ?」
『あー……あぁ、ね』
「だから俺と一緒にするんじゃねぇ‼️」

大人をおちょくる才能があるガキに調子を狂わせられる

まぁ、いい。あと一息。

「……その空洞からはビームが出る」
『ビーム?』
「ビームが出てなァ当ると体がブタになっちまうんだってよ。だからアイツはサングラスを外さねぇのさ」
『ぶ、ぶ、ぶたさんになっちゃうの?』

ようやく見たかった反応がかえってきた
「そうなったらもうブーしか喋れねぇな」
『ブタさんになってもしんしゅけ様、美月だって分かってくれる?』
「さぁな、ブタはブタだろ」
『ひぃぃ!怖い怖い怖い!ばんざい先輩、こわいよォオ‼️』

グズグズと泣き出す美月

「ほら、こっち来い」

ニヤけた顔がバレないよう引き寄せ背中をさする

「もう泣くな。近づかなきゃいい話だろうよ」
『う、うっ、わかった……』


泣きつかれて眠りについた美月
まつげが涙に濡れている

やり過ぎたか?
まぁ、いいだろう
怖がられた時の万斉の顔が見物だな

美月とは反対にすっきりとした気持ちで再び眠りについた



ーーーーー



翌朝

「……こうか?いや、こっち……」
「晋助様!自分が巻きましょうか!?」
「来島ァ今すぐ出てけ」


カッコつけて巻いてるんじゃないですよ〜風な巻き方を意識しすぎる晋助様でした





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