テロリストの子育て

□第2話
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昨日はお通殿のライブの打ち上げがあり明け方まで呑んでいた

結果しっかり二日酔いだ
若いつもりでいても体は正直だ
だいたいお通殿が帰った後も打ち上げをする意味は…?

いや、これも表の世界を円満に渡り歩く為だ

二日酔いの体に船はキツイのでスタジオで仮眠してから船へ帰ろうとした矢先…

ピンコンーーー

晋助からメールとは珍しい……


"身長87.3が着る子供服買ってこい(女)"


子供服?何の為に?
拙者が酔っているせいで文を見間違えているのか…

三度見てもメールの内容は変わらない

何故?と送ってもきっと返信は来ない
いつもそうだ
メールも電話も用件しか言わない
と言うか会話自体簡潔な男だ

今更文句を言った所で、でござるな
にしても服を買いたくても店が開いてないではないか

呉服屋が開く時間まで待つか悩んでいた時、スタジオにキッズダンサー達の衣装や練習着がある事を思い出した

二日酔いの体に鞭を打ちバイクに跨がりーーー

ではなく、飲酒運転になるので徒歩で向かった





「ちょっと待てっス!身体拭かないと床が!あ〜もう!」


なんとか服を2着調達して帰って来てみれば何やらまた子が子供相手に悪戦苦闘している


武市がとうとう誘拐でもしたのだろうか
ロリコンもここまで来ると手が付けられないでござるな


「万斉先輩!」
「また子殿、この子供は?」
「それが、よく分からないッスよ」
「娘、父の名は?」

幕府を揺する為どこからか幕臣の娘を連れてきたのかもしれないと聞いてみると……
『しんしゅけしゃま』

「「・・・・・・。」」



これには拙者も驚いた
まさか晋助に隠し子がいたとは…
まぁ、確かに居てもおかしくはない

「とにかく、まずは服を着せて晋助の所に行くしかないでござるな」

『ばんざいせんぱいは、しんしゅけしゃまのお友達なの?』

「志しを共にする者だ、わかるか?」
『わかりませんです』

見たところ3歳程か…
分からぬのも無理はない

「ふむ、ならば友達だとしておこう」
『へーんなの!ほんとにお友達?』

中々疑い深い娘だ

「まことだ偽りではござらん」
『じゃあ、美月ともお友達ね!あ〜く〜しゅっ‼️』


そう言って小さな手を差し出す無垢な子供の笑顔に
これだけ血に染まった拙者も心が浄化される気がした

子供とは何とも不思議なものでござるな



ーーーーー



「また子殿、そろそろ行くでござ…」
「隠し子隠し子隠し子隠し子……」
『かくし子〜♪どこの子〜♪だれの子〜♪あなたの子よぉおお〜♪』
「わっぱ、その歌はやめてやれ…」




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