ノンストップ
□二章
4ページ/5ページ
お洒落な間接照明にイタリア製アンティークのテーブルやイス。
ここは空峰 緑が経営するレストラン&バーである店の名は
『エーティス』
意味は「飛躍・飛行」と緑は言うらしい。
「おぅ勇哉、おかえり……あれ?お友達かな?」
「いや違うんですよ、この人はそこで出会った……」
「光雪 金です。」
「俺はこのレストランのオーナーの空峰だ、よろしく。」
「初めまして。」
「そしてだ勇哉、頼んだ物は買ってきてくれたんだろうな?」
「あ……忘れてた……。」
「……しょうがねぇな、まだ店の開店まで時間がある。俺が行ってくる。」
「すみません空峰さん……。」
「大丈夫だ、勇哉に頼んだ俺が悪いんだから。」
「それ、どうゆう意味ですか!」
緑は冗談だよ、とはにかんでコック服姿のままレストランを後にした。
赤宮は緑の姿が見えなくなるのを確認して、ニコニコしながら金に近づき、カウンターの中へぐいぐい引っ張って行く。
「カウンターって勝手に入っちゃっても大丈夫なの?」
不安そうな金をよそ目に勇哉は自慢げに言う。
「あのな、ここをこうやって……えいっ!」
上から2段目、右から4つ目にあるブランデーの瓶を引っ張ったとたん、地響きを鳴らしながら棚が
真ん中から2つに開いた。
「これは!?」
「びっくりしただろ?こっちこっち!」
「もしかして、このためにわざとお会計するのを……。」
「そうともさ!全ては俺の計画通り!」
絶対に嘘だ、と思いつつ赤宮と共に奥の地下室へ進む。
「あっ勇哉君だ!お菓子はー?」
キラキラと目を輝かせる瞳。
「桃後さん、実は……」
「もしかして、買ってきてないの?」
ニコッと黒い笑顔を浮かべる瞳。
「ごごごごごめんなさいっっっ!!!」
「許さないわよぉ……ん?」
瞳と由香利が勇哉の背後にいる青年に気が付く。
「あぁ、こいつは光雪 金。俺の新しい友達だよ。」
あらそうなの?私は桃後瞳よ、この子は柴ノ原由香利ね、と自己紹介が終わった頃だ。
奥の方から黒髪の男が現れた。
「あ、黒分さん!お久しぶりですわ。」
黒分と呼ばれた男は由香利のスペシャルスマイルを無視し、周りを見回して1つため息。
「緑はどこだ。」
「今買い物中で留守にしてらっしゃいますわ。」
「そうか……あ。」
黒分が金を睨みつける。
「ここはお前のような他人が来て良いような場所じゃねぇ。早く帰れ。」
冷たく言い放つ黒分に対し、何よ無愛想なヤツ!と瞳が言いかけたその時、
ウィーンウィーン
耳を裂くようなサイレン音が、刹那とした地下室に響き渡った。