ノンストップ
□二章
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「えっと、パセリにトマトに……。」
ここは緑の店から徒歩10分程度の距離にあるスーパーだ。
「この材料は空峰さん特製パスタだな。」
帰ったら作ってもらおうと鼻歌を歌いながらレジに並ぶ。
「4829円になります。」
「えっと財布……。」
パーカーのポケットに手を伸ばす。
が、そこには2日前に噛んだガムのゴミしか入っていなかった。
パーカーの次はジーパンのポケットを探るが何もない。
財布がない事に気づいた勇哉は、レジ担当のおばさんに謝りながら列を抜ける。
「どうしよう……空峰さんに怒られる!
あの財布には空峰さんがコツコツと貯めたポイントカードとか入ってるのに……。」
新たに主夫らしい一面が判明した緑。
しかし今はそれどころではない。
「あの……。」
緑のお説教を覚悟した勇哉に声をかけてきたのは金髪の青年。
青年の手には財布が握られている。
「あ、それは……。」
「君の…だよね?」
青年から財布を受け取る
。
間違いなく緑の革の長財物だ。
ポイントカードも入っている。
「そうですそうです!なんで分かったんですか?」
「いや、財布がどうとか、ポイントカードがどうとか……。」
……どうやら勇哉の大きな一人言は周りの人達に聞こえていたらしい。なんと滑稽な
「ありがとう!いやぁ、何かお礼しなきゃ!」
「いえ、財布を拾っただけですし……。」
「いいからいいから!
……あ!君これから時間ある?」
「あぁ、僕は暇ですけど……。」