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□二、仲間割れ
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家へ着いた。
門の前に行くと勝手に門が開く。そして敷居をまたぐと、
「お帰りなせーやし!お嬢!」
という組員全員の声が響きわたった。
「ただいま。わざわざご苦労様〓」
家へ帰るといつもこう。まぁ、普通に「おかえりなさい」って言われるのに悪い気はしないけど。
あいさつはもちろん、私が家に帰ってまずやることは...着替えだ。
着替えなんて、普通じゃないかって?
まぁ、そうだよね。
でもうちでは、洋風の服じゃなくて、全て和風の服なのだ。和風の服といえば着物やらなんやら色々あるが、その中で私が好んで着ているのは袴(はかま)だ。
場合によっては着物も着るが、普通に生活するには袴の方が楽だしね。
着替えを済ませ、父のところへ向かう――。
父の部屋の前で床に立て膝をして、扉を開ける前に一声かける。
「父様(とおさま)、いらっしゃいますか?」
「あぁ。」
「今日の報告をしたいのですが…。」
「入れ。」
そのやりとりをして、入っていいと言われれば入室する。
「失礼いたします。」
襖を両手で丁寧に開ける。
閉める時も丁寧に…
「…で、今日は何ともなかったか?」
「はい。ただ、同級の竹崎が3時間目に登校してきて、担任を怒らせ、2人でどこかに行ってしまったので授業が潰れました…。」
「そうか――。山伏組は何か行動を起こしていたか?」
「いえ…。普段と変わらないように見受けられました。」
「そうか。」
報告は短時間で終わり、父の部屋を出た――。
私は部屋に戻り、ベッドに寝転がった。
家も服も全て和風なのだが、なぜか私の部屋には洋風のものが多い。だが、洋風の家具は色を地味めにしているからか、不思議とマッチしている。
色々な事を考えているうちに、私はいつの間にか眠っていた――。