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□二、仲間割れ
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私は部屋に戻り、普通の服に着替えた。
何故袴ではないかというと、汚れるのは目に見えているし、何しろ動きにくいからだ。それに、着替える時間も短縮できる――。
現場へ向かう――。
なんとも人が多い。手っ取り早く退かせるには…
大きく息を吸い――
「道を開けろ!」
声を張り上げて言う。
集まっていた組員(野次馬)はびっくりして跳ね上がり、その後すぐに道を開けた。
見てみると、刺された組員が大量の血を流して倒れていた。
私はすぐにその場に駆け寄り、脈や呼吸の確認をした――。
それから、周りにいた比較的冷静そうに見える組員を何人か呼び、
「あなたは行きつけの*裏医者*を呼びつけて!状態の報告を忘れずに!」
「あなたはもっと止血できそうな物を持ってきて!シーツでもタオルでも何でもいいから!」
「それからあなたは…救急箱を持ってきて!30秒以内ね!」
*裏医者*…ヤクザや殺し屋など、危険の多い組織を専門に扱っている医者のこと。
指示をだして丁度30秒ほどで救急箱が届いた。
刺された組員を周りの組員と一緒に仰向けにし、救急箱に入っていたガーゼと包帯を取り出す。
そしてそれで刺されている箇所をなるべくキツめにグルグル巻いた――。
シーツなどで止血するようにして――。