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□二、仲間割れ
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鳥のさえずりで目が覚めた。
もう朝なのだ。
けれど、いつもと少し違う感じがする。
耳をすませてみると、外が騒がしい。
なんだろう?何かあったのかな?
そう思いながらそっと扉を開けて外を見てみる――。
人だかりができていた。
またもやなんだろう?と思っていると…
1人の組員が向こうから駆けてきた。
「あ…お嬢!おはようございます!」
と、私に気がつき一礼した。
「ねぇ…随分と騒がしいけど、何かあったの?」
それとなく聞いてみる。
組員は、「えっ!?」というような顔をして、言葉を濁らせてしまった。
そんなにマズいことなのか?
暫くして、組員はやっと口を開いた――。
「あの…僕なんかが話していいのか分からな…」
「いいよ。私が許す。」
組員がまだ言葉を言い掛けているというのはお構いなしに、私は答えを求めた。
「えと…実は…組員同士の争いごとが明朝にありまして、それがエスカレートして1人が相手を刺しちまったらしいんですよ。」
「えっ!?」
私は当然の如く驚いた。
本家内でそんな事が起こるなんて…
いや…そんなのはどうでもいい。
そろよりも、刺された組員は無事か、刺した組員はどうしたのか。それが知りたかった。
その事を大まかに早口で組員に聞き、寝巻きのまま父のところへと向かった――。