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□二、仲間割れ
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どれくらいの時間が経ったのだろう…。
寝る前までは明るかった空が真っ暗になっていた。
部屋の外で床のきしむ音がする。誰か来たのだろうか?
襖に影が映る。
警戒しながらベッドから下りる――。
「誰!?」
「…。」
「誰かと聞いている!」
「荻田でごぜーやす。」
なんだ…荻田か。ホッ…。
襖を開ける。
「びっくりさせないでよね!もう〓」
「すいやせん。寝言でも言っているのかと…」
「アホ!寝言だったら
こんなにハッキリ言わないでしょ!」
荻田は、そのことに対して返事はせずに、手短に
「夕食の準備が出来やしたので食事処へいらしてくだせー。」
そう言った。
私は軽く頷いた。
荻田が先に行ったのを確認して、乱れた髪を結い直した。
それから食事処へ向かった――。食事処へ近づくにつれ、様々な料理のいい香りがしてくる。
食事処へ着いた。
もう、組員のほとんどは席に着いている。
私が敷居をまたぐと、組員は礼をした。
私は一応、頭の娘ということで、高見に座る父の横に座る。
しばらくすると――。
父が来た。みんなと一緒に私も軽く礼をする。
父は席に着き、早々に言う。
「では、いただこう。」
「いただきます!」
色鮮やかな料理が並んでいる。
いつもこんな感じなのだが、毎回どこから手を着ければいいのかすごく悩む。
少しの間悩んだ末に、今日は焼き魚から手を着けることにした。
食事中は私語を慎まなければいけない。だから、食事中はすごく静かだ。
みんなが黙々と食事をしている中で、いきなり大きな声が響いた。
「みんな聞いてくれ。」
あまりに突然だったので、一瞬誰の声か分からなかったのだが、それは紛れもなく父だった。
「食事を終えたら、その1時間後に会議を開く。これから組をやっていく上でとても重要なことだ。心の準備をしておけ。」
周りが少しざわつく。
なんやかんやで食事は終わり――。
みんなの様子が気になって、私は溜まり場になっている本家内の寮へと足を運んだ。
バカでかい扉を開け、寮長の部屋へ向かう。
トン トン
「ん?」
「私だ。入るよ。」
ドアを開けようとすると…
部屋の中からガタガタという音がした。たったの1分位だけど。
「どっ…どうぞ!」
随分動揺した声だ。
改めてドアを開けて中へ入る。
どうやら、部屋が散らかっていたか何かして、素早く片付けたらしい。