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□二、仲間割れ
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会議を行う集会所にはぞくぞくと組員が集まっていた――。
組員の全員が指定の場所に座り、私と父も席に着いた――。
会議が始まった。
「これより、緊急会議を始める。
始めるにあたって、今皆が一番気になっているだろうが、会議したい内容を伝える。」
組員の顔が強張った。それと同時に息を呑むのも見てとれた。
父が再び口を開いた。
「内容は…うちの組に加盟している鷲逗(わしず)組の組長決めだ。」
そこにいた全員が自身の耳を疑っただろう。
…というのは、組長決めが会議に持ち込まれることは、絶対と言っていいくらいの確率で"ない"からである。
無論、誰一人その理由を分かるわけがなく、ただただ動揺していた。
父がその理由を話し始めた――。
20分ほどしたところで話は終わり、これから10分間の休憩をはさむ――。
父の話によると、先日、鷲逗組が敵対している山伏(やまぶし)組の誰かに鷲逗組組長が射殺されたのだそうだ。
普通ならば既に跡取りを決めてあるものなのだが、「明日決める。」と言った矢先に射殺されてしまった。
そのため、組長を決めなければならないのだが、組員の中では誰が適任なのかさっぱり分からない。
そこで、本家に所属している誰かから適任者を出してほしい。
そういう依頼がきたそうだ。
そして今日、父の直接検討をしたうえで会議に持ち込まれたのだそうだ。