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□君の温もりと鼓動
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忘れられない思い出がわたしにはある。それはとても、愛しくて心地よいものだった。きっと、あれがわたしの人生最大の恋だったんだろう。
あの人は今でもわたしのことを好きと言ってくれるだろうか?
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わたしは一週間前に余命宣告を受けた。持病の喘息が悪化し、入院をせざるを得なかった。今まで、薬と通院で治療を続けていたが最近になってから発作を起こす回数が増えた。
いきなりのぶり返しにわたしは母親とかかりつけ医のいる病院へと足を運んだ。
昔、喘息は悪化すれば死にいたることもあると訊いたことがある。わたしはどうか、何もないように必死に祈り続けた。
しかし、その祈りは届くことはなかった。
「持って、1年です」
医者の口から聞こえた言葉にわたしは頭を鈍器か何かで殴りつけられたような痛みを訴えた。
隣に立っていた母親も言葉が出ないのか口に両手を当てて、驚愕していた。わたしは聞き間違いだろうと「嘘、ですよね? そんなことって……」と訊き返したが医者は渋い顔をしながら「……残念ながら」と言った。
わたしはまだ、中学生だ。そんな映画か何かみたいな展開を望んでなんかいない。それでもこの体は終わりの時を必死に刻んでいこうとしていた。
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