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□苦さと涙の味は表裏一体
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わたしね、好きな人ができたの

そう無邪気な笑顔を浮かべる渚はあまりにも眩しかった。好きになったのは自分と同じバスケ部に所属する相棒だった。
友人に誘われて試合を見に来た時に一目惚れしたという。

幸せそうに相棒の話をする渚は恋する乙女だ。
本来なら彼女を応援しなくてはいけないのだろう俺は複雑な気分だった。なんとなくだけど渚を盗られたくないって感じ。

俺と渚は中学からの友人で遡れば中2の頃に出会ってから高校入学までずっと一緒だ。気が付けば傍にいて、バスケの試合にはいつだって見に来ては応援してくれてた。

そんな彼女を俺はいつの間にか好きになってた。傍に一緒にいた時間は俺の方が長いのに。渚の傍で渚に慕われている相棒に少しだけ嫉妬してしまった。


(つくづく、報われないな)


俺はお気に入りの玩具を盗られたような感情を抱きながら彼女の傍で笑うのだ。


――――――
切ない感じ/高尾
驚きの短さその2

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