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□まい ふれんど!
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「土方くん不足でしぬ」
「あん時てめぇがいなけりゃあ、もっと上手くやったんだがなァ」
「それはこっちの台詞ですうー」
あのAV鑑賞会事件以来、土方は徹底的に高杉と銀時をシカトしていた。
めげずに話かけてもスルー。目が合えばものすごい顔で睨みつけられ、殺気が隠せていない。
そんなことをされても二人は結局土方が大好きで、思いのほか深いダメージをおっていた。
「土方の身体触りてぇ。襲うか」
「高杉それ犯罪だからね、うん。俺やだよ中学の頃はいい子でそんなことする子だとは思いませんでした、とか言うの」
「襲ったって相手が嫌がらなかったら犯罪じゃねーだろ。俺のテクニックでメロメロにしてやらァ」
「いや、前回襲って失敗してこんなになってるからね。いい加減学習しろよ」
「それはテメェのテクニックが足りなかったんだ。俺は悪くねェ」
「はい出たよ高杉の俺様! マジお前だるい」
はぁ、と深い溜息を吐き出す銀時。二人の視線の先には、山崎や沖田や近藤と楽しそうに話す土方が映っていた。
土方を無理矢理連れ出してお話しようとも(今更何を話すのかなんて不明だが)、最近の土方はすきがないと二人は感じていた。
前は一人で居ることも少なくなかったしで話し掛けれたりしたわけだが、あの事件以来土方は誰かしらと居るようになった。
俺達を警戒してのことかはわからないが、とにかくすきがない。
「俺はもともと土方と仲良かったのにな……」
「っは、お前らの友情なんかそんなもんなんだよ」
「土方と関わりのない高杉に言われたって全然傷付かないし」
「まぁとにかくよォ、俺ァ土方を襲おうと思う」
「おまっ、最近の土方見てみ? すきなんてこれっぽっちもねーよ? 襲うったって、流石に土方の周りの奴らの前じゃ無理だろ」
「銀時ィ、だからテメェはアホなんだ。良く考えてみやがれ。人間だれしもすきだらけになる瞬間が、一日に一回以上はあんだろ?」
「すきだらけ…………、! あー、なるほどね」
高杉の計画がわかった銀時は何度か頷き、二人でにやりといやらしい笑みを浮かべた。
「トシ、最近坂田と一緒に居るところを見ないが、大丈夫なのか? 友達だろう」
「え、あぁ、大丈夫だ。近藤さんが心配することじゃねぇ。それに友達じゃねーし」
「そりゃあ土方さん、旦那たちにあんなことされちゃ…ガハッ!」
「山崎ぶっ殺す」
何か言いかけた山崎を土方は拳を振りかざし黙らせる。そんな二人に近藤は苦笑いを浮かべた。
「まぁ土方さん、あんまり旦那と高杉怒らせるとどうなるか知りやせんぜ。俺は大歓迎ですけど」
「別にあいつら怒らせることなんざしてねぇ。むしろこっちが怒ってんだ」
「ほう? まぁちょっとした警告でさァ。あの二人とは同じSのにおいを感じたんでねィ」
「意味わかんねーよ。テメェは一生サディスティック星と交信してろ」
ッチ、と土方は舌打ちを鳴らすとふるりと身震いする身体に気付き
時計に視線をやった。今は5時間目のあとで、次の時間の6時間目で授業は最後だ。
(次の授業まであと5分、か……。間に合うな)
「ちょっと厠行ってくらァ」
「おう! 次の時間までには戻ってこいよー」
「一生戻ってくんな死ね土方」
土方は沖田の言葉に「お前が死ね」と一言言い放つとがらり、とドアを開け一人、騒がしい教室から出て行った。
あの二人が、このチャンスを待っていたとも知らず。
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