▼Main

□まい だーりん!
2ページ/9ページ


太股を擦り合わせるたんびに感じるわずかな刺激。AVに視覚と聴覚から煽られ、土方はむず痒い興奮が、確かな欲求に変わるのを感じた。
相変わらずぎゃーぎゃーと喧嘩を繰り広げる高杉と銀時の真ん中で、土方は顔を真っ赤に染める。


「銀さんなんてもう、AVじゃ勃起しないからね。悩内土方じゃなきゃ勃起しないから。悩内土方だけでちんこビンビンだから。だから俺のほうが高杉より、土方のこと好きなんだよ!」
「そらァ銀時お前が、こんな生温いAVなんざ見てるからだ。まぁ俺も、土方じゃなきゃ抜けないけどなァ?」

いつの間にやら二人の喧嘩は下品な土方への愛の背比べへと変わっていた。
そんなことにツッコミを入れる余裕もない土方は、言葉を聞き、ちらりと盗み見るように高杉と銀時の中心へと視線をやった。



(なんで勃ってねェんだよ!)


八つ当たりに近い怒りの感情を土方は芽生えさせながら、せめてこれ以上性器が硬さを持たないようにと、AVから逃れるように俯く。

あのこたつ事件くらいの羞恥を感じる。いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。
だってこの空間で興奮してるのは、俺だけだから。


「……っ」

俯いても結局聞こえる女の喘ぎ声。
興奮仕切った身体には、その喘ぎ声すら煽るものとなり、土方は漏れそうになる甘い吐息を、奥歯をぎしりと噛み締め必死に耐える。


「結論的に言えば、土方は銀さんのこと好きだから」
「バカ言うな。土方は俺のことが好きなんだよ」
「俺だから」
「俺」

「……ん、」





(あぁ、やべェ)

……勃っち、まった。





土方はこの状況で勃起してしまったことに、泣きたいくらいの羞恥を感じる。いや、もうすでに涙目だ。
乱れ出す呼吸を必死に隠すも、不自然に肩が上下に揺れる。しっとりと汗までかいてきた。
この二人がいなかったら、今すぐ性器を取り出して扱きたいくらいだ。


「違うよな土方! 土方が好きなのは銀さんだよな!」

「ぅ、あ! さっ、触んじゃねェ!」

不意にぐいっ、と土方の肩を抱き寄せた銀時。
肩だったけれど、急に触れられ興奮仕切っていた身体は、それだけで快感を拾いあげた。
ビクン、と土方は身体を震わせ反応し、思わず漏れた艶の乗った甲高い声に、銀時は目をパチパチと驚いたように瞬きさせた。あの高杉でさえ、驚いたように目を見開いている。


土方は触れられた肩を自分の手で抑えながら、真っ赤に染めた頬と不似合いなくらい眉間にしわを寄せ、ハァハァと呼吸を繰り返した。



いつの日かと同じように、にやり、と笑う高杉と銀時。

嫌な予感しかしない。
と、どこか遠くのほうで、冷静に土方はそう感じた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ