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□まい だーりん!
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『あん、ぁ、あはん!』


「銀時ィ、テメェこんなのがタイプなのか。悪趣味天パ。縛りなんざ、俺ァ萎える」
「うるせェんだよ高杉! 人の趣味に文句言わない! 高杉だってこの前『土方縛って犯す想像して抜いた』って言ってたじゃねェか!」
「土方は別腹」
「それはわかる」



土方は高杉と銀時の間に挟まれながら、聞きたくもない下品な口喧嘩に溜息を漏らす。
こんなことが日常化して、しかも慣れ始めている自分を信じたくない。

あのこたつ事件(土方にとっては事件である)以来、何故か何か吹っ切れた高杉と銀時の二人は、学校だろうが何処だろうがお構い無しに土方に愛を叫んでは、くだらない喧嘩(土方の奪い合いとも言う)を繰り広げるようになった。

目立つ銀髪に妙に整った顔立ちと、その口の上手さに女子に人気のあった銀時も。
綺麗な顔立ちと不似合いな目つきの悪さに一匹狼な不良から、女子のファンが多かった高杉も。
格好いい顔立ちと、それ以上の男前の信念を持つ、真面目でクールな無口から女子にそこそこモテていた土方も。

今や全校生徒が銀時と高杉が土方に惚れている、という事実を知っており、女子からの人気は0に近い結果となった。
むしろその手の趣味の女子や、面白がる生徒から応援される始末だ。
他人の目を気にしない高杉と銀時はどうでもいい様子だが、土方にとっては迷惑で仕方がない。



「こんなAVじゃ俺ァ勃起しねェぞ銀時ィ。土方似のAV女優のAV持ってこいや」
「ンなの持ってるわけないだろーが! むしろ欲しいわ」
「なんなら俺の持ってきたAV見るか?」
「それだけは嫌だ。高杉の趣味、鞭とか蝋燭とか痛々しくて何がいいんだかわかんねェんだもん。AV女優に同情すら覚えるね」

銀時の部屋にて横一列に銀時、土方、高杉と並んで座り、AV鑑賞会の真っ最中。

何故こんなことになったかと言えば、銀時と高杉がどのAVが良かったとか下ネタトークを聞いていた土方。
普段下ネタトークには一切首を突っ込まない土方に、銀時が「土方はどんなAVが好み?」と聞いたところ、土方は「見たことねェ」とバッサリと答えたのが始まり。
その事実に衝撃を受けた高杉と銀時は、早速自分のお気に入りのAVを持ち寄り銀時の部屋に集合した(今や銀時の部屋で三人で遊ぶのが習慣化している)。



(これがAV……)

あの二人とは別に、衝撃を受けている人がもう一人。
自分の趣味でも好みでもなくとも、男のツボを的確にとらえるAV。
見慣れていない土方にとって、むず痒い興奮がやってくるのに時間はかからなかった。

一人得体の知れない興奮に戸惑う土方に、喧嘩中の高杉と銀時は気付かない。


(なんなんだよコレ。どうすりゃいいんだよ)

AVを見まいと目を伏せるも聴覚からも犯され、ちらりと見てしまう。


(やべェ……、勃っちまいそう)

土方はそわそわと視線を動かしながら、無意識のうちにもぞもぞと太股を擦り合わせた。



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