贈り物
□共有財産
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赤澤くんはバカだ。とってもバカ。
でもバカな赤澤くんは、優しいところがあるし、かっこいいところがあるし、すこし寂しがり屋さんだったりもする。
バカな赤澤くんを好きになってしまったわたしは、彼よりバカなのかも知れない。
しかもそれが本人にバレたあたり、とてもバカなのかも知れない。
さらに、彼女がいるからと断られてもなお、バカな赤澤くんを好きなわたしはバカだ。
そんなわたしに優しい赤澤くんはもっとバカだ。
最近の赤澤くんは変だ。
悩んでる(バカなのに)。そして、元気がない(部活中でも大声ださない)。さらに、死にそう(水がない魚)。
なんでだろう。
観月は知らなかった(期待してなかった)。メガネくんもしらなかった。
もう!だめだなテニス部は!赤澤レベル0だな(わたしは5はある。10段階で)。
赤澤レベル5のわたしが察するに、きっと彼女さんになにかあったのだ。
一緒に自転車をこいでいるのを何度かみたことがある。それを最近は全く見ない。
メガネの似合う彼女さんを乗せて、赤澤くんはいつも以上にバカ丸出しな顔(幸せそうな顔ともいう)をしていた。
きっと彼女さんに、彼女さんに、…まさか、フられた…?
『赤澤くん』
「ん…?あぁ、お前か」
『彼女さん、なにかあったの?』
「…まぁな」
『わ、別れたんじゃないよね!?』
胸ぐらをつかみ問えば、それはないと言われた。
あぁ、よかった。
よかった?ん…?なんで?別れたら赤澤くんと付き合えるかもしれないじゃん、よくないじゃん。
よくないよ。
彼女と幸せそうな赤澤くん。
彼女と楽しそうな赤澤くん。
毎日輝いてる赤澤くん。
どこにいったんだ。
幸せそうだった赤澤くんになにがあった。赤澤くんの幸せはどこにいったんだ。
わたしの幸せでもあったのに。
君が幸せならそれで