捧げ物・企画
□F*
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「った〜…」
ランプの破片で切った傷が地味にズキズキと痛んで、新八は足を止めた。
恐らくバラバラに出歩いているであろう銀時達に出会わないよう、かなり挙動不審になりながら道を進む。
「…まだバレてないかな……」
いつ銀時達が船に戻り、自分がいなくなったと気づかれるか分からない。
だがもしかしたら、逃げたのなら別に良いかと諦めてくれないだろうか?
船に拉致されてから船員達を見てきたが、一番分からないのは銀時だった。
無感情な瞳に掴み所のない態度。
皆が皆個性的ではあるのだが、触れ合えば触れ合う程銀時は苦手になってきて。
(最初は綺麗だと思ったのにな…)
初めて見た時、この世界にこんな綺麗な銀色が存在するのかと思った。
今まで見てきた『色』が霞む程、新八はショックを受けた。
だけど今は…
「よく分からないよ…」
何が正しくて、何が間違っているのか。
親の仇の筈なのに、時々船員達が見せる優しさに戸惑う。
頭の中が酷く混乱して…――
――だから、気付く事が出来なかった。
「見ぃ〜つけた」
「ッ!!」
振り向いた先には、怪しく笑う銀時がいた…――
***
「あちゃ〜。随分派手にやったね〜」
「ククッ…銀時の奴、今頃血眼なんじゃねぇか?」
街中で会った沖田に銀時が荷物を置きに一旦戻った事を聞き、自分達も一旦戻ろうと神威と高杉が船に向かうと、乱雑に置かれた荷物と荒れた船長室の光景が広がっていた。
「俺、船長とは付き合いが一番浅いから分かんないんだけど、今船長何してると思う?」
「…お仕置きでもしてんじゃねぇか?」
「ふ〜ん。じゃあ新八が帰ってくるのを楽しみにしてようかな」
散らばった荷物を片付けながら、神威が鼻歌を歌う。
そんな神威を見ながら、つくづくこの船の船員は歪んでいると高杉は思った。
(ま、俺も人の事言えねぇがな)
煙管に火をつけながら、高杉は口元を少しだけ歪ませた。
***
もう随分使われてないであろう倉庫で、2つの影が重なっていた。
こんなにも早く見つかるなんて…新八はそう思いながらも、今自分を押し倒している人物――銀時を睨む。
「なぁ…何で逃げたの?」
「、…当たり前じゃないですか。無理矢理連れていかれたんだから」
無理矢理ね…小さく呟いた銀時の瞳に影がかかった。
「――――…のか」
「…え?」
密かに聞こえた銀時の声は、あまりにも小さすぎて全部を聞き取る事は出来なかった。
何だかいつもと雰囲気が違って見えて気になったが、銀時が新八の服に手をかけた事で我に返る。
「ちょっ、何を…!」
「お前はなかなか意思が固いからな。体に教え込むんだよ、俺がいないと駄目だって事を」
「や、ヤメ…放せぇ!」
必死に抵抗しても、力の差は歴善だった。
元々体格も一回り程違うため、ピクリともしない銀時に泣きたくなる。
「…抵抗すんな。悪ィけど、優しくする自信無ぇから」
「何言って…」
「だってよ、」
痛いの好きなんだろ?そう言って、ガラスで切れた手を舐める。
乾きかけていた傷口はその刺激にピリピリ痛み、また開いてしまった。
「綺麗な肌に傷付けちゃってさぁ…新八ってマゾなわけ?」
「違ッ…」
ひとつ、またひとつ…服のボタンを外される。
動きたいのに…抵抗したいのに、何故か銀時の目を見ていると体が動かなかった。
「やだ…やだ……」
心臓が飛び出るのではないかというくらいドクドクなって、押さえられている手が震える。
そんな新八の様子に銀時は少しだけ微笑むと、先程とは打って変わって優しげに呟いた。
「可愛い…新八」
「んッ…」
唇が塞がれる。
でも、前にされたのとは全然違う、相手の全てを奪うようなキスだった。
苦しくて足をばたつかせても、銀時は何度も角度を変えながら口腔を弄ぶ。
そうして暫く経つと、新八の体は力が入らなくなった。
「はぁ…、は……ッ」
「なぁ…何処にも行くなよ」
「い…ゃだ…」
「…もう一度だけ聞く。俺と一緒に来い」
「何度言われたって答えは変わりません…僕は、自分の家に帰ります!」
ギリリと手首を押さえる力が強まる。
遠慮の無い力加減に新八は顔を歪めたが、銀時はニヤリと笑っていた。
底の分からない笑みにゾクリと震える。
本能が危険だと言っているようだった。
「…それでこそ壊し甲斐がある」
「ひッ…」
少しだけ残っていたボタンが弾け飛ぶ。
2人しかいない静かな倉庫で、その音はやけに大きく聞こえた。
「痛…!」
鎖骨に歯をたてられ、空いている手で胸の突起を摘ままれる。
どちらも優しさなんて微塵も無くて、新八の目に知らずと涙が溜まった。
少し血が滲んだ鎖骨に舌を這わせながら、銀時は胸を触っていた手を徐々に下に下げていく。
未知の恐怖にきつく目を閉じていた新八は、有り得ない場所に感じた感覚に驚いて下を見た。
「ンあ!ヤ、だぁッッ…離、して…!」
「良い声。もっと啼けよ新八」
ズボンの紐をシュルリと解き、煩わしそうに下着ごと一気に下げられれば、急な外気にふるりと震える新八自身。
まだ萎えたままのソレを躊躇無く握り締めると、そのまま強弱をつけて攻め始めた。
「ぅああ!」
「気持ちいいだろ?」
「っよ、く、ない……」
「…嘘ばっか」
意地を張る新八に少しだけ苛立ったのか、銀時は小さく舌打ちした。
そして両足を肩に担ぐと、ドSな自分らしく泣いて嫌がる新八に興奮して立派に反応している自身を取り出した。
本当は少しくらい解かしてやるつもりだったが、気が変わった。
何の愛撫もしていない秘処に自身を当て、一気に捩じ込んだ。
「ぅ、あああぁぁあ!!」
強烈な痛みに、目を見開きながら背中を仰け反らせる。
無力な両手は銀時の進入を拒むように必死に体を押し返そうとしているが、痛みのせいか、殆ど力が入っていない。
その小さな抵抗を嘲笑うかのように新八の腰に手を当てた銀時は、半分ほど挿入れていたソレを全て収めるべく動き出した。
本来受け入れる場所ではない其処は、あまりの質量に血を流す。
「ぃ…たい…ッ抜…、てぇ…」
「…何で?こんなに気持ちいいじゃん」
実際は食い千切られそうな痛みがあったが、銀時にとってはそれすらも甘いものに感じた。
血のお陰で多少滑りがよくなり、緩やかに律動を開始する。
はくはくと呼吸が上手く出来ない新八の頬を優しく撫でて、銀時は未だに止まらない涙に唇を寄せた。
「新八……新八…ッ」
あまりの激痛に意識が朦朧としているのか、銀時の言葉は新八に届く事はなかった。
それを知ってか知らずか、銀時は狂ったように新八の名前を呼びながら何度も激しく揺さぶっていた――