捧げ物・企画
□H
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花のように愛らしいとは正しく彼女のような子の事を言うのではないだろうか。
妹のようだとスザクが言う気持ちが、ルルーシュも少し分かる気がした。
「はじめまして、ユーフェミアと言います。ユフィって呼んでください」
そう言って微笑んだユフィはとても上品で、おそらくスザクと同じように裕福な家の娘なのだろう。
「ルルーシュだ。呼びやすいように呼んでくれて構わない」
「俺はジノだから…やっぱりジノって呼んでもらった方が良いのか?」
「それ以外何があるのよ…。私はカレンよ。呼び捨てで構わないわ」
自己紹介も終わり、5人でお茶をする。
すると自然と話題はジノ達が『遅刻をした理由』の話になった。
「まぁ。それじゃぁ遅くまでDVDを見ていたから寝坊をしてしまったのですか?」
「だってパトラッシュがぁ〜」
「私は先に寝ちゃったから知らないんだけど、コイツ明け方まで見てたんじゃないかしら」
まったく…、とカレンが呆れながら話す。
「パトラッシュ…って何ですか?」
「え?パトラッシュ知らないの?」
カレンが意外そうな顔をする。
…無理もない。パトラッシュと言えばルルーシュ達の年代でも知っているほどの名作アニメのキャラクターなのだから。
「ユフィ、パトラッシュっていうのは『フランダースの犬』っていう昔のアニメに出てくる犬の名前だよ」
「そうなんですか。ルルーシュは詳しいのね」
…別に詳しいわけではないが、ユフィがあまりに嬉しそうに笑うからルルーシュは思わず苦笑いしてしまった。
大分日も傾いた頃、明日は学校だしと、そろそろと帰る支度をして家を出る。
楽しい時間はあっという間と言うが、本当にその通りだ。
「今日は楽しかったよ。有難う」
「俺も楽しかった。ユフィも有難う」
「こちらこそ、有難うございました」
それぞれが挨拶をして別れる。スザクが駅まで送ると言ったが、ユフィを1人残すのは抵抗があった為断った。
***
「じゃぁ俺はここで降りるから」
電車に乗って数駅――ルルーシュがいつも降りる駅に着いた。
カレン達はまだ降りないのでここでお別れになる。
「じゃぁ、また明日」
「おぅ!明日な〜」
電車が見えなくなるまでルルーシュは見送っていた…――
***
「…大丈夫か?カレン」
「え?」
ルルーシュが見えなくなった頃、それまで笑顔だったジノが急に真剣な顔になり話し出した。
ジノが言おうとしている事が何となく分かって、カレンは気まずそうに俯く。
「大丈夫って…何が?」
「……」
しかし何故か、ジノは険しい顔をして黙り込んでしまった。
滅多に見ないジノの表情にカレンは少し困惑する。
「ジノ…?」
名前を呼ぶと少しだけジノがカレンの方を向いた。
「カレン…あの子苦手だろ?」
その時のジノの声は、とてもカレンを心配している声だった…――