捧げ物・企画

□D
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暫く慌てる少年に見惚れていたが、急に叫びだした事により、現実に引き戻された。


「誰かー居ませんかー!!」


ぼーっとしていたせいで一瞬肩を揺らしてしまったが、すぐに平静を取り戻す。


「…どうしたんだ?」


少し声が掠れてしまったような気がしたが、太陽少年(今命名)はそれどころではないらしく、勢いよく振り返る。

…何故か涙目だったが。


「はい!どうかしたんです!入学式が――」


そこまで一気に言い切ると、何故か言葉が不自然に途切れた。
不思議に思い、思わず眉を寄せると太陽少年は何やらハッとして慌てて話しはじめた。


「あ、あのっ、ぼぼぼ僕…その…」

「…さっき、入学式って言ったか?」

「えっ、――あ、うん…」

「もしかして俺と同じ新入生か?」

「え!?君も新入生なの?」

「あぁ。ルルーシュ・ランペルージだ」


自己紹介をして手を差し出す。それを見た太陽少年も柔らかな笑みをしながら手を差し出した。


「僕はスザク。枢木スザクだよ」


2人の手が、しっかり握られた――


***


「本当に有難う。助かったよ」

「そこまで感謝されると、少し照れるが」


あの後、スザクとルルーシュは一緒に入学式会場に向かい、何とか遅刻せずに済んだ。

スザクは色々と安心してルルーシュに感謝しっぱなしだった。


「君と話すのは楽しいな」


突然、何の前触れも無くスザクが言った。

それはまるで今日は天気がいいね…と話すように自然で、ルルーシュは一瞬止まった後ボンッと音が聞こえそうな程顔を真っ赤に染める。


「ばっ…!お前、そっ、そういう事は彼女とかに言え!」

「へ?…あ〜でも…僕彼女居ないんだよね」


はは、と眉を下げながらスザクが笑う。
それを聞いたルルーシュはとても意外そうな顔をした。


「、そうなのか?」

「うん。実は初恋すら経験してないんだよね」

「…何か…意外だな」

「そうかな?そう見える?」


くるくると変わる表情は、何だか子犬のようで可愛いし、女性にはモテそうな印象を受ける。

加えてさっきのような嫌みの無い自然な褒め言葉…。

女性が嫌う要素はない…となると


「お前…よく天然って言われるだろ」

「え?よく分かったね!よく言われるんだけど…君もそう思う?」

「あ〜…まぁ、な」


スザクの彼女は苦労しそうだな…と何となく思った。

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