ギアス(パロ)

□I
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俺の好物は納豆。
日本人なんだから当然だろ?…え?違う?








「おおぉスザク、凄い隈だな!昨夜はお盛んだったのか〜?」

「……」


【C.C.】という人物の事を考えていたら、結局あまり眠れずに朝を迎えてしまった。

…ていうか、ジノのテンションがウザイ。いや、ジノがウザイ。


「ジノ煩い。頭に響く…」

「何だよ〜!相変らずスザきゅんは釣れねえなぁ〜」

「スザきゅん言うな」


何でジノは何時もこんなにハイテンションなんだ…まるでゴールデン・レトリバーだな。


「お!ルルーシュはっけーん!!」

「!」


ジノの言葉を聞いた途端、眠かった頭が一気に覚めた。

…何でだよ自分…。


「ルルーシュおっはよ〜♪」

「…ん?あぁ、おはよう」

「……」


きちんと挨拶をするジノと違い、俺は何も言わずにルルーシュの隣を歩く。

てか、何となくルルーシュの顔が見づらい。


「そうだスザク。今日の事なんだが、少し遅くなるかもしれないんだが」

「遅くなるって…?」

「寄る所があってな。なるべく早く行くようにするが…それでも1時間は遅くなると思うんだ」

「ふうん…」


どうでもいいと思っている感じに返事をする。

でも内心は少し残念だと思っている自分がいて、それが何だか嫌だった。


「なぁなぁ!私もスザクの家に行っていい?」

「はぁ!?」


目をキラキラさせながら(まるでお強請りする犬のようだ)話すジノ。

でも、前にジノを家に連れていった時に散々だった事があり、それ以来家には入れた事が無かった。


「なぁルルーシュ、いいだろ?私にも勉強教えてくれよ」

「それは…俺は構わないが、スザクの家だから…」

「なぁスザク!いいだろ!?」


この流れは何だ…断れないじゃないか…


(ジノめ…)


結局、答えを濁した俺が渋々OKを出したのは放課後だった…


***


「ルルーシュおっそいな〜…」

「人のベットで勝手にゴロゴロするなよ」

「今更だろ〜…」


何時もルルーシュが来る時間は午後4時。

そして今の時間は午後5時30分。

ジノは俺と一緒に帰宅してるから…かなり退屈してるだろう。


(お菓子でも食べさせておくか)


何か食べ物を渡せばジノは大人しくなるだろう。

そう思い腰をあげたその時――


―――コンコン。

部屋をノックされ、その後控えめに「坊ちゃま、ルルーシュさんがお見えです」とお手伝いの声が聞こえた。


「通して」


短くそう告げると「分かりました」と返事が返ってきて足音が遠ざかっていく。

その数分後に、別の足音が近づいてきた。


「すまない、遅くなってしまって…」

「ルルーシュ〜!!!」

「ほああああああ!!」

「っ!」


漸くルルーシュが来た事が嬉しかったのか、ドアを開けて入ってきた瞬間にジノがルルーシュに抱きついた。


「ジ、ジノ!離してくれ!」

「や〜だ〜♪」

「…ジノ」


だんだん腹が立ってきたので思いきり自慢の三編みを引っ張ってやった。


「イタタタタ!スザク痛い!!」

「ならその物騒な手を放せよ」

「物騒とは失礼だな…」


そう言いながら、ジノは渋々ルルーシュから手を離した。


「さて、早速始めるか。まずは先週出した復習問題の答え合わせからだな」

「あぁ…あれか」

「今回の問題は少し難しかったと思うが…全部解けたか?」

「俺、これでも勉強できるんだよ」

「ほう、それはそれは」


ルルーシュが軽く笑いながら肩を竦める。

そんなルルーシュに俺は無言でノートを渡した。


「…出来てるじゃないか。お前にしては上出来だ」

「素直に褒めればいいだろ」

「で?今日は何処を勉強するんだ?」

「そうだな…昨日は数学をやったから…今日は英語をやるか」

「う…」

「りょうか〜い♪」


英語…俺がこの世で一番苦手とする教科だ。

早くも気分が沈んできた俺が項垂れていると、再び部屋をノックする音が聞こえた。


「何?」

「失礼します。お茶をお持ちしたのですが…」


どうやら苦手な英語の前に少し休めるようだ。

俺はドアを開けてお茶が乗ったお盆を受け取った。

いい香りの紅茶と一緒にお盆に乗っていたのは…


「これって…」

「ええ。美味しいと評判のお店で運良く買う事が出来たので坊ちゃま達に食べていただこうと思いまして」

「そ、そう…」


折角少しリラックス出来ると思ったのに、お盆に乗ってる【それ】を見て一気にテンションが下がった。


「どうした?スザク」

「ス〜ザ〜ク〜?」

「いや…何でもない…」


明らかにテンションが下がった俺を見て不思議に思ったのだろう。

再び俺が座るまで顔を凝視された。


「これ食べろってさ」

「お!紅茶だ♪スザクの家の紅茶は上手いんだよな!」

「あ…」

「ん?どうかした?」

「これ…プリン…」


そう…お盆に紅茶と一緒に乗っていたのは【プリン】

…実を言うと、俺は甘い物が凄く苦手だ。

さっきテンションが下がったのはプリンが原因だった。


「美味しいって評判の店で偶然買えたらしいんだ。だから俺達にって」

「なるほどな!やっさしぃ〜♪」

「どうかな。少なくとも俺にとっては嬉しくないけど。甘い物なんて見てるだけで吐き気がする」

「ス、スザク…」

「…え?」

「プリン…嫌いなのか?」

「プリンが…って言うより、甘い物全般が嫌いなんだよ。…あぁそうだ、俺の分も食べていいよ。俺は要らないから」

「ほ、本当か!?」

「えっ…」


ルルーシュの顔が見た事も無い程輝く。

まさかそこまで喜ばれると思わなくて、もしかして…と、ある事が頭に浮かんだ。


「もしかして…プリン好きなのか?」

「わ、悪いか!?美味いじゃないかプリン!」


ちょっ…何この可愛い生物。

この見た目で、この性格で、プリンが好きだなんて反則だろう。


「お、俺はプリンなんて食物嫌いだ。…だから、食いたきゃ食えよ」

「そ、そうか。なら…」


ああもう…無防備に赤くなるなよ。


(これがギャップ萌えってやつか…?)

「美味しいな、このプリン」

「販売時間30分で売り切れる事もある物だ。これで不味かったら苦情もんだよ」

「いや、本当に美味しいよ」


そう言ってルルーシュは優しげに微笑んだ。

その笑顔に何かドキドキしたのは秘密だ。


「こんな美味しい物が嫌いだなんて、スザクは勿体ないな」

「そんな甘ったるい物好きな方がどうかしてるよ」

「え〜私は好きだけどな〜」

「前から思ってたけどジノって味音痴だよね…」

「そんな事無いって!意外と私はグルメだぞ?」

「チーズトーストに蜂蜜かける奴の言う台詞じゃないよ…」

「え!?あの組み合わせはマジで美味いんだぜ!?騙されたと思って1回食べてみろよ!」

「死んでもゴメンだね。甘いのかしょっぱいのか分からないじゃないか」


何だか話がいつの間にかずれてしまった。

でもそんなやり取りの中でもルルーシュは黙々とプリンを食べてる。


…と言うより、男のくせに食べ方が上品過ぎる気がする。


「て言うかさ、プリンが好きだって言ってるわりにはジノのプリン全然減ってないじゃんか」

「え?だってそんなに喜ぶなら私の分もルルーシュにあげようと思って♪」

「え?何言ってるんだジノ、好きなら食べればいいだろ?俺の事は気にしなくていいから」

「いや良いんだって。私がルルーシュにあげたいんだから」

「だが…」

「じゃあそんなに気にするんだったら私も一口食べるからさ」


そう言ってジノはプリンを一口食べた。


「どうだ?美味いだろ?」

「うん、確かに美味いね。病みつきになりそう」

「そうだろう?だから俺の事は気にせず自分で食べろよ」


俺はスザクの分を貰ったし。
ルルーシュがそう言ってもジノは納得してない様子だった。


「良いの!私はルルーシュの喜ぶ顔が見たいから」

「お、お前な…」

「だからこれはルルーシュにあげる!」


そしてまたジノはプリンを一口食べる。

たった今ルルーシュにプリンをあげると言っていたのにプリンを食べるジノを見て、俺は首を傾げた。

ルルーシュを見れば同じように不思議な顔をしている。


「ジノ、何して…」

「んぅッ!!」

「ちょッ!」


俺が声を発したのと、ジノがルルーシュの腕を引き寄せたのはほぼ同時だった。

いきなりの事で構える事も出来なかったルルーシュの唇は簡単にジノの唇と重なる。


「ん…ふ、ァ…ッ」

「ッ…」


口移し…だよなこれ。

止めなくちゃいけないのに身体が動かない。


真赤なルルーシュの顔とか、苦しげな息遣いとか、助けを求めるようにシャツを掴む手先とか…とにかくルルーシュから目が離せなかった。


「…どう?プリンの味」

「は…はぁ…げほッ…」


長い口付けから解放されたルルーシュは耳まで真赤にして酸素を求める。

身体は密かに震えていて、両手は相変らずジノのシャツを力なく掴んだままだ。


「……」


こんな時に非常識だって分かってる。

だけど今のルルーシュを見てると、どうしようもなくモヤモヤする。

…押し倒して、グチャグチャにしてやりたい…そんな考えが頭を過った。


「い、いきなり…何、する…」

「あれ?味分からなかった?じゃあもう一回…」

「え?ちょ、待っ」

「ジノオオオオオオオオオオオ!!!」


これ以上見ていられないのと、自分の熱を誤魔化す為に俺は大声で叫んだ…

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