ギアス(パロ)

□D
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今も昔もガードが固い、ルルーシュはそんな奴だ





「はぁ!?無理だった!?」

「あぁ。心の友であるスザきゅんの頼みで魅惑のルルーシュ君を調べようとしたんだけどさ〜何かダメなんだよね〜」


大袈裟なジェスチャーで何やら途轍もなく腹の立つ事を言ったジノ。

……うん。とりあえず後で殺す。


「何でダメなのさ」

「これでも頑張ったんだぜ?私もルルーシュの事気になってたしさ。だけどセキュリティっつうの?それが頑丈でさ、全然だった」

「……」


何でただの一般人にそんな頑丈なセキュリティが…


「だけど住んでる所は分かったぞ!」

「セキュリティが頑丈なのに住所は分かったの?」

「いんや?住所は学生名簿に載ってた♪」

「……」


学生名簿…迂闊だった。

…ていうかジノ、その笑顔やめろ。物凄く腹が立つ。


「…で?最終的に分かった事は住所だけって事?」

「住所だけじゃないって!電話番号も分かったんだぜ!!」


凄いだろ〜♪そう言ってジノはニカっと笑う。

凄いも何も、それ結局学生名簿見ただけじゃないか…


「…住所が分かったところで何か出来る訳じゃない」

「ん?何かって?」

「あの澄ました顔を歪ませる為には弱点の一つでも必要なんだよ。住所だけじゃ何の役にも立たない」

「…珍しいな。スザクが誰かに執着をするなんて」

「執着って…そんなんじゃない…」

「そうかぁ?」

「そうだよ。俺はただ、アイツを泣かせたいだけだ」

(それを執着って言うんだよ…)


ジノは思った。

今までこれほどまでに誰かに興味を持つのはスザクにしては珍しかい。

どんな相手と接しても、長くて3日後には顔も覚えていなかったあのスザクが…――


(こりゃぁ暫く退屈しなさそうだな)


そんなスザクを見て、ジノは1人静かに口元を歪めた。


***


「…俺の顔に何か付いてるか?」

「…別に」

「なら勉強に集中しろ」

「……」


結局あれから何も分からず御開きとなった。

何故かジノがずっとニヤニヤしてて腹が立ったので、最後に一発だけ殴ってしまったが、一発くらいいいだろう?


「ほう…やれば出来るじゃないか。正解だ」

「君って何でそんなに上から目線なの?少しは腰を低くした方が良いと思うけど」

「悪いがこの性格は元からだ。今更直すつもりはない。それにお前だって、人にどうこう言える性格じゃないだろう」

「ほんっと一々腹立つな…」

「どういたしまして」


今まで自分にここまで失礼な態度をとった奴はいなかった。

だから自分がルルーシュに執着しているとすれば、この態度のせいだろう。

…それ以外に理由なんて無い。


――…あっちゃいけない。


「よし、今日はここまでだな。昨日より早く終わったじゃないか。何時もこうだといいんだが」

「早く終わればその分君は早く帰るだろ」

「まあな」


嫌味を言っても軽くかわされてしまい、それが余計に腹が立つ。

自分はルルーシュの言葉に苛々させられっぱなしだというのに…


「さて、お前の望み通り今日はもう帰るとしよう。言っておくが、予習復習を怠るなよ」

「はいはい…」


やる気の無さそうな返事をしても、ルルーシュは表情を崩す事なく出ていった。


「…はぁ」


勉強は嫌いだが、出来ない訳じゃない。

やれば出来るがあえてやらないだけ。


だから難しくて困るなんて事は無いが、苦手な人物とセットとなれば更にやりたくなくなる訳で。


「予習とか復習とか糞だろ…」


別に予習復習などやらなくても平気だからやりはしないが。


「6時か…」


ふと時計を見れば夕方の6時を指していた。

昨日は7時まで掛かったが、今日は随分早く終わったようだ。


ブー、ブー…

余った時間をどう過ごそうかと考えていた矢先、マナーにしていた携帯に着信が入る。


「…ジノか」


待受けを見れば、そこには悪友の名前があった。

無視しようとも思ったが、何となく出なくちゃいけない気がして通話ボタンを押す。


「何か用?」

『おぉス〜ザクゥ〜♪相変らず冷たいなぁ』

「…切るよ」

『わー待った待った!!ごめんなさいごめんなさい!!!』

「何なのさいったい…」

『いや〜暇だから一緒に遊ばないかな〜と思って♪』


暇かといわれれば暇だ。だが疲れている。さてどうするか…


「…ごめん。今日はちょっと疲れてるんだ。だからパス」

『めっずらし〜!体力馬鹿のスザクが疲れるとわね〜』

「仕方ないだろ。今の今までアイツと一緒だったんだから」

『今の今まで一緒だったのか!?良いなぁ〜私もルルーシュと勉強したい!』

「……」


どうやら悪友は本気でルルーシュを気に入っているようだ。

その事実に…何故か苛々する。


「…とにかく疲れてるから切るよ」

『あ!おいスザ…』


何か言いたげなジノの言葉を遮り強制的に通話を切ると、途端に無機質な機械音が響いた。


「ったく…」


電話を枕元に少し強めに放り投げ、ベットの上に横になる。


今日は結局ルルーシュの事は分からず終いだったが、住んでる場所は分かった。

もし弱みを握るとすればもう家に行くしかない。だが…


「面倒臭い…」


セキュリティさえ無ければパソコンで調べられるというのに…


「家に居る時も全然隙が無いし、弱点なんてあるのか?」


…いや、どんな人間でも必ず弱点はあるはずだ。

例えば自分は見た目に似合わず猫好きだったりする。


…絶対誰にも言えないが。


「絶対諦めるもんか」


童顔で人懐こそうに見える自分だが、実は意外にとてもしつこい。

こうなったら何が何でもルルーシュの弱点を見つけるつもりだ。


(じゃないと俺は気がすまない)


これが執着心だと言うのなら、確かにそうかもしれない。

だが一度自覚してしまったら止まらなかった。


…自分は、ルルーシュ・ランペルージの事が気になって仕方ないのだ…――


「今日はもう寝るか…」


昨日久しぶりに自分にしては早く寝たが、早くも今日で昨日の記録を更新する事になった…

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