ギアス(パロ)
□O
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包み隠さず全部話してくれれば、それだけで良かったのに
「ルルーシュ…」
気を紛らわす為に街に出て、そこで偶然見かけたルルーシュ。
幸か不幸か、ルルーシュがコチラに気付く事は無かった。
だが一緒にいた少女…あの子は一体誰なんだ?この3日間、学校を休んで何をしてたんだよ…
「何か…イラつく…」
ルルーシュとその少女の2ショットを見てから、苛々がどんどん増していく。
人に勉強する事を押しつけておきながら自分は学校を休んで女と会っているなんて…って、これじゃあ自分はルルーシュと付き合ってるみたいじゃないか。
「……」
ルルーシュは…自分の事をどう思っているのだろう。
出会ってすぐに襲った奴に対して良い思いはしてないと思うけど。
「ルルーシュが俺を好きになるなんて事、あるわけ無い…」
そんな事が起こった日にはきっと台風だ。
結局ルルーシュに話しかける勇気もわかず、俺は家へと足を向けた。
***
『ぜ……ぼく……ま……る…ら』
遠くで声が聞こえる…あれは誰だ?何だか凄く懐かしい気がするのに…思い出せない。
あぁそんな悲しい顔をしないで…
「……夢…?」
気が付いたらベットの上で、見えるのは自分の部屋の天井だった。
…いつの間にか寝てしまったようだ。
「何の夢だったんだ…?」
夢の中に出てきた人を、俺は知ってる。
だけどそれが誰なのか分からない。
「……」
何だか昨日の出来事と今日の夢で酷く疲れた気がする。
…が、学校に行かないと周りが煩いし…
「学校…行きたくないなぁ…」
ジノが聞いたら絶対からかわれる事を言ってる自覚はあるが仕方ない。
本当に今日は行きたくないのだ。
とりあえず学校に行く振りをして、何処かに行こう。うんそうしよう。
だが、今日はとことんついてないらしい…立ち上がろうとしたら突然視界がぐにゃりと揺らいで…倒れてしまった。
「ちょ…マジ最悪…」
自分1人しか居ないこの部屋で文句を言ったところで返事が返ってくるわけではないのだが。
***
「39度8分ですね」
この家で一番長く仕えてるお手伝いさんが時間になっても降りてこない自分を心配して部屋に入ってきたところ、倒れてる自分を発見して今に至る。
「よくもまぁこんな熱で我慢出来たものだわ…」
…いや、我慢出来ずに倒れたんですけど。
「今日は大人しくしててくださいね?」
パタン、とお手伝いさんは静かに部屋を出ていった。
再び自分1人だけになった部屋は、何だかさっきよりも酷く静かになった気がする。
「風邪なんてひいたの何年振りだろ…」
もううろ覚えだけど、前に風邪をひいた時は確か小学生だった気がする。
まだ幼かった自分は凄く心細くて、でも自分の手を一生懸命握ってくれる手が凄く愛おしくて――…?
「手って…誰の…手…?」
『ス…ク……い…だか…』
まただ。今朝の夢といい、断片的な記憶を急に思い出す事がある。
酷く懐かしいのに、肝心な事は何1つ思い出せないすっきりしない記憶でもあるけど。
「一体誰なんだよ…」
コンコン――
記憶の扉を必死に開けようとしていた時、急に部屋のドアをノックされた。
薬でも持ってきたのかな…
「坊ちゃん、お客様です」
「客…?」
ガチャ――
扉を開けて入ってきたのは……
「お前でも風邪なんてひくんだな」
「ルルーシュ…」
そこに立っていたのは、いつものように不機嫌そうなルルーシュだった…――