ギアス(パロ)
□J
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惚れた方が負けとはよく聞く事だよな…
結局あの後、強制的にお開きになった。
それは俺がこれ以上ジノとルルーシュを近づけたくなかったのと、ルルーシュが艶っぽくなってしまったのが原因だったりする。
キスされた後のルルーシュは正直ヤバイ…色々と。
それは自分が前にした時も感じた事だが、例えるなら情事後の様な…そんな色香が漂う感じ。
そんなルルーシュをこれ以上ジノに見せたらマズイだろ?だから昨日はお開きにするしかなかったんだ…
***
「…で?何か言い訳はあるか?」
「あ…はは……」
今の状況を説明すると、ジノの胸倉を俺が掴んでいるという、実にシンプルな状況だ。
「君は最初からルルーシュに何かするつもりで俺の家に来たのか?答えによってはただじゃ済まない…!」
「だー!ごめんなさいごめんなさい!!つい出来心で!!!」
学校の屋上で繰り広げられる修羅場(?)はまだまだ終わりそうになかった。
他の生徒がいたら色々と気が散るだろうが、幸いな事に誰もいない。
「何が出来心だ。ならその出来心も感じなくなるくらいにしてやろうか?」
「ご、ごめんってば〜!」
いい加減終りの見えない修羅場を強制的に打ち破ったのは、今2人が争う原因にもなっていた人物…
「2人共、授業に戻れ。…ったく、お前らが居なくなると俺が探す事になるんだって事を少しは自覚してほしいものだな」
「…何でここだって分かったの」
「簡単な事だよ。あえて言わないがな」
「ルルーシュ、スザクを何とかしてくれよ〜!」
未だに胸ぐらを掴まれたままのジノが悲痛な叫びをあげたが、ルルーシュはスザクをちらりと見ただけだった。
「…間もなく授業が始まる。早く戻って来るんだぞ」
そう言ってルルーシュはパタン、と扉を閉めて行ってしまった。
それから何日か経ったある日。
「ルルーシュ、この前のノート写したんだけど…」
「そ、そうか!じゃあ俺の机に置いといてくれ!俺はちょっと用があるから…」
「あ、オイ…!」
最初は気のせいだと思ってた。
だけど今ので確信した…
「俺、ルルーシュに避けられてる…?」
「うん、あれは確実に避けてるな」
「!?」
何となく零した独り言に、まさか返事が返ってくるとは思わなくてビックリした。
「ジノ…」
「簡単に背後を取られるなんてスザクらしくないな」
「余計なお世話だよ」
「ま、気持ち分かるけどな」
「え?」
気持ち?誰の?ジノの言ってる事がよく分からない。
「スザク、本当は分かってるんだろ?」
「だから何が…」
「私はルルーシュが好きだ」
「っ…」
いつものふざけた表情ではなく、真剣な顔でジノが言った。
「…だけど私は正々堂々と勝負がしたいんだよ」
「しょ、勝負って」
「ルルーシュが好きなんだろ?」
「え…?」
…好き?俺が……ルルーシュを?
威張りんぼで、生意気で、変なとこが優しくて、たまにだけ可愛くて…――
(そうか…俺は…)
ずっとモヤモヤしてた理由がやっと分かった。
「ぼさぼさしてると取っちゃうぞ〜って事」
「…負けないよ」
「うん」
自分の胸の上のシャツをギュッと握る。胸が苦しくて仕方なかった。誰かを好きになるのは苦しいんだって初めて知った。
「その胸の苦しみは、ルルーシュにしか治せない。よってスザきゅんは今すぐにルルーシュの所へ行った方がいいと私は思います!」
右手を軽く上げて、わざと軽い感じに話すジノ。
この場の空気を悪くしないように、そして俺が駆け出せるように。
「ジノってお節介だよね」
「え!?酷い!!友達想いって言ってくれよ〜!」
ジノはこうゆう奴だ。
だからこそ、小さい頃から付き合ってこれた。
「…今度何か奢ってあげるよ」
「マジで!?やった〜♪」
有難うは言えないけど。
とりあえず今はルルーシュの元へ行くために教室を後にした。
***
「ここ…か…?」
はぁ、と自分の呼吸音がやけに大きく響いた。
散々走り回って、人から人へルルーシュの居場所を聞きながら、最終的に辿り着いたのが図書室だった。
「確かに本とか好きそうだよな…」
――…深呼吸一つ。
気持ちを落ち着かせて図書室の扉に手をかける。
静かに開くドアが、まるで何かのカウントダウンの様に感じた。
「結構広いんだな…」
いざ扉を開けてみると、結構な広さに驚いた。
普段間違っても図書室を利用する事が無い自分には驚く事だらけだ。
(俺が来た事がバレたらまたルルーシュは逃げるかもしれない)
出来るだけ音を立てない様にルルーシュを探した。
広いうえに迷路のような造りで結構大変だったが、暫く探した結果、残りは奥の個室のみとなった。
ここまで来たら何が何でもルルーシュに理由を聞いてやる。
そう決意して、個室の扉をゆっくり開けた…――