Black Angel

□愛しの家族
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「………」

目前に広がる巨大な森。
自然しかない、俺の場所。

可愛い鳴き声で唄う小鳥。
爽やかな声で話す木々。
静かな足音を響かす動物。

俺の癒しの場所。
全て俺のもの。
俺だけの土地。

「っぐ…っ…が…っ」

そこに異質なものは忍び込んではいけない。忍び込ませない。
俺の家族を壊させない。


俺の掌には、痛々しい傷を晒す雀。
弱々しく横たわり、血を流す俺の家族。

「……ごめんな…」

小さく呟いて雀にキスをする。
途端その小さな体にある傷は癒えて、雀は仲間の元へ羽ばたいていった。

ふ、と無意識に口角を上げた。

「っあ"……た、すけ…」

足元に転がる人間は助けを求める。
しかし、それを俺は蹴り飛ばした。
人間の周りに蔦が幾重も生えて男を地面へと引きずりこんでいった。

小さく聞こえた悲鳴に舌を打つ。

「………うっぜ」

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