短編・中編


□続・ゲーム
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「雷雨、お前告白しない?」

いつものように騒がしい教室に、いつもの面子。
いつも通り下らない話をして笑っていると、ふと友人の一人がニヤリと笑って告げてきた。

──…告白?

いきなりどうしてそうなるのかと、俺が思わず固まってしまうと、また一人、ニヤけた顔を向けてくる。

「いやさ、僕達のおかげで渡部と仲良くなったみたいだし?」

「どうせならもっと親密にさしてあげようかと」

「余計なお世話だ!ふざけんな!」

わざとらしくニヤける口許を片手で覆い、楽しげな友人共に吠えた。

親密に、と余計な手立てされなくても、渡部はとっくに親密な仲だ。
ヤる事ヤっちまってるし…と、考えてしまってから俺は振り払うように首を振った。

──…いや、だから俺はホモじゃない!

こいつらの仕掛けた賭けゲームに乗ってしまったせいで、渡部と一線を越えてから、俺と渡部は定期的に遊ぶようになって。
付き合ったり等はしていないが、何だかんだとセックスをするような仲だ。

最初は流される中で渡部に告白されて、俺も何となくと浮かぶ気持ちに疑問に思った訳だけど…。
毎回流されるように行為に及んでるとはいえ、今では俺も渡部への想いを完全に自覚している。

…けれど、それをあいつに伝えていない。

今更想いを伝えること事態が恥ずかしいのもあるが、まだ怖いのだ。
だって、渡部は男で、俺も男で。
伝えることで、この日常から丸切り逸脱してしまうのではないか。そんな言い知れない不安が、俺の気持ちを鈍らせる。

「雷雨?」
「やべ、マジに怒った?」

不意に名を呼ばれて、俺は意識を友人等に戻した。
俺が黙り込んだのをキレたのだと勘違いしたのか、目の前の顔が不安そうにしている。

「悪ぃ、ちと考え事」

渡部への気持ちに悩んでたなんて、俺らしくもない。
そんな思いから思わずそう告げてから、後悔した。

「お?なんて告白しようかって?」
「やる気満々だねー♪」

俺が怒ってないと分かれば、またニヤニヤと笑い始めるのを見て、キレたと嘘吐けば良かったとムカついた。



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