短編・中編


□続・ゲーム
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「帝、週末空いてるか?」

今日は両親が出掛けていてまだ帰ってきていない。
その為、汗と白濁を洗い流そうと二人で風呂へ浸かって一息吐いていると、今まで沈黙していた渡部が不意にそう聞いてきた。

週末の予定を聞いてくるのは、別に珍しいことじゃない。だが、いつもはどちらかの家にするかと発展する会話が、今回は違かった。

「たまには二人でどこか行こう」

「は…?」

「普通に遊ぼう」

──…普通に?

俺は狭い浴槽の中で向かい合う渡部を凝視する。

男子高校生として普通に遊ぶのは普通…というか、俺達が異常…というか。

急に普通になんて言うこいつの意図が分からなくて、一瞬頭が回らなかった。

「…普通、って、何だ?」

「…帝がいつもの連中と遊ぶようなことだろ。賭け以外で」

「いや、うん、そうだよな」

やべぇ、マジ俺今間抜けっぽい。
目の前の顔が呆れたように歪んで、つい目を反らしす。

渡部と普通に遊ぶ。
そんなの、楽しいだろうかと、眉間に力が入ってしまう。
渡部はクラスでも騒がず大人しく、表情も滅多に変えないクールな奴だ。出掛けるとしても、一人で図書館やら美術館やら行ってそうなイメージしか浮かばない。
逆に俺は、友人たちと騒ぐのが好きだし、いつも出掛けるのはゲーセンやカラオケや…騒がしい場所ばっかりで。

そんな対照的な俺らが、二人で普通に遊ぶなんて…

「出来るのか…?」

「出来るだろ」

出来たとしても楽しくなさそうだと口許が引きつく俺に反し、渡部はいつもの無表情で“週末行くぞ”と告げた。
…勝手に決定されたようだ。

まぁ、たまには健全に遊ぶのもいいか…、そう考えて俺は頷いたのだった。

「……というか、足、邪魔」

「別にいーじゃん、狭いんだよ」



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