駄文

□Amore eterno
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「来週の金曜日休み取っといて」

「は?何だよいきなり…」

突然やって来た恋人である坂田銀時の言葉に書類の手が止まる。


「絶対だからな」ビシッと土方の目の前で指を指した銀時は嵐のように去って行った。



「何…だったんだ?」行ってしまった銀時に今だ目をぱちくりとしていた土方だったが、銀時の言葉を思い出す。


(来週の金曜日…)休みを取れと言う銀時に従うのは気にくわないが、重たい腰を上げて近藤の元へ向かった。




―金曜日―

「休み取れたんだ」「てめぇが言ったんだろうが」休みが取れ、万事屋に来いと言われ今にいたる。

「で、旅行にでも連れて行ってくれんのか?」「旅行ちゃ旅行かな…はい」渡されたのはヘルメット。スクーターに跨った銀時は後ろをぽんぽんと叩いた。


後ろに乗り、肩を掴んだ「安全運転だからな」「わーってるよ。つか腕」ゴーグルを付けた銀時が土方の腕を掴んで腰に回した。
「っ////」「はい出発〜」走り出したスクーターに回した腕に力が入った。(恥ずかしいとか…思わねぇのかよ…)些細な事だが土方には今だ照れ臭いのだ。


しばらく他愛もない会話をしていたが、だんだんと江戸から離れて行く。


「どこまで行くんだ?」「うーん…もう少し」銀時は楽しそうに返した。



「はい、到着〜」「ここって…」銀時に連れて来られたのは山奥の教会。
「ずっと連れて来たかったんだよね」笑顔で差し出された手を戸惑いながら掴む。「ここなら堂々と手が繋げるしさ」山奥の崩れかけた小さな教会には人一人いない。



中に入ると所々崩れかけていたが、中央にある十字架だけは今だ輝いていた。


十字架の下で俺達は向かい合う。


「銀時…」「俺達は男同士だから結婚なんて出来ないし、お互いにいつ死ぬか分からない。だから…」ポケットから出した小さな箱。

「いつかこの命尽きるまでお前を愛し続けることを誓います」
煌めく瞳に射抜かれて頬に熱が集まる。

「受け取ってくれるか?」小さな箱を開けるとシンプルな決して安くないであろうシルバーの指輪が二つ並んでいた。

「銀時お前…このために?」自分に休みを取らせてここに連れて来てくれたのだと思うと、胸が熱くなる。


「やっぱりさ、大事だから…ちゃんとしたかったんだよ」優しく微笑んだ銀時に、気付くと涙が溢れていた。


「銀…とき…っ」「泣くなよ…ほら受け取って」箱から出した指輪を左の薬
指に入れていく。

「愛してるよ…十四郎」抱き締められた銀時の背中に腕を回して肩に顔を埋めた。「俺、は…銀時が好きだ…でも真選組を優先することだってある…それでもいいのか…?」「馬鹿だなぁ…俺は副長であるお前ごと愛してる」銀時は土方の体を離して涙を指で拭った。


「俺、坂田銀時は土方十四郎を永遠に愛することを誓います…土方は?」「これが返事だ馬鹿」泣き笑いの顔で銀時に口付けた。


本当はずっと不安だった。
男同士である自分達にはいつか終わりがあるのだと、どこかで思っていた。


けれど、左指に光る銀色に…銀時とこれからも歩いて行けるのだと思い不安は消えた。


(これからも…か)照れを隠すように歩き出した銀時を笑いながら隣に並んだ――――。



次に後書き。 .
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