CP小説短編 BL
□ウル誕生日
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グリムジョーはザエルアポロの元を訪れていた。
理由は翌日の大切な日のため。
「で、できたんだろうな?」
グリムジョーが何やらゴソゴソしているザエルアポロの背に向かって話し掛ける。
そんなザエルアポロは別に気にした様子もなく、何かの小ビンを見つけたのか、それを手に別の机へ歩いて行き、水色の液体が入ったビーカーを手に取った。
「もちろん出来ているさ。僕に不可能は無いからね」
目だけをグリムジョーへ向けてからビーカーの中身の液体を小ビンへ注ぐ。
それが満杯になると、蓋をしてグリムジョーへ歩み寄る。
「君が注文した薬だよ。効果は飲んだ時から一日。今日寝る前に服用することだね。明日の朝から効果が出始めるからさ」
面白そうに笑いながらそれをグリムジョーに渡す。
グリムジョーは、中身の液体の色に顔をしかめながらもそれを受け取った。
「あぁ、ありがとよ」
それをポケットへしまい、薄気味悪い笑みを浮かべたザエルアポロに見送られながら第八自宮を後にした。
自分の自宮へ帰る途中、誰にも会うことは無かった。
自宮の自室に戻ると、ベッドに仰向けに倒れ、天井を見る。
しばらくボーっとしていたが、薬の事を思い出すと、ポケットへ手を突っ込み、小ビンを取り出した。
水色の液体が揺れ、光りを浴びて時々光っている。
「こいつで……」
呟いてから勢い良く起き上がると、ビンの蓋を開け、中身を一気に飲んだ。
すると、急に眠気が襲ってきて、堪えられなくなり、ベッドへ再び倒れてそのまま眠りについた。