ShortDream

□愛しいヒト[不二子]
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不二子がワイングラスを片手にソファーに座って妖艶な笑みを浮かべている。

「ねぇ次元、貴方のとっておきのお酒、頂戴よ。」

ほろ酔い気分なのか、気だるそうな雰囲気に妖艶はさらに増し、つやっぽい唇からはため息のような甘い囁きが零れる。

「なんでテメェに俺の酒をやんなきゃなんねぇンだよ。そこの鼻の下伸ばしてるサルにでもねだるんだな。」

「――次元ってばつれないわね。そう思わない?五右衛門?」

「不二子、飲みすぎでござる。いい加減にしろ。」

問われた五右衛門は不二子に近付きグラスを奪ってルパンに投げつけた。
ルパンは小さく笑ってそれをキャッチする。

「不二子ぉ?どうしちゃったんだよ。酒に飲まれるなんて、らしくないぜ?それとも俺っちを誘ってくれちゃったりなんだり?」

今日の不二子は本当に調子が狂う。

ルパンたちのアジトに突然当たり前のように訪問してくるのはいつものこと。ワガママをいうのもいつものこと。次元といがみ合うのもいつものこと。

――しかし

いつもなら香水のにおいを漂わせて余裕の表情でやってくるのに、今日は酒のにおいとうるんだ瞳でやってきたもんだから驚きである。
次元も五右衛門も不思議に思いながらも彼女の近くで一緒に酒を飲んだり煙草をふかしたりしていた。


「――今日は皆意地悪なのね。」

不二子は悲しそうにつぶやいた。
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