Story.U
□12
1ページ/4ページ
目が覚めて思ったのは時計が欲しいだった。
太陽が高い場所にあるからお昼前後であるのに間違いはないだろうけど、時間がわからないってのはちょっと不便。
コップに注いだ水を飲みながら、ふと思い出した。
「そーいえばツバキさんちに服と下着おいてるじゃん…昨日買う必要なかったのに勿体無いことした」
実にけち臭いと思われるかもしれないけれど、一文無しの私は贅沢なんてできないのだ。
昨日買ったのがあるけど、せっかくユリさんがくれた服だし取りに行きたい。
そう思えば行動あるのみ。
さっさと着替えて出かける準備をする。
どこかに監視役の人がいるはずなんだけど、今日は数人の気配を感じるからどの人が監視してるのかわからない。
ツバキさんの家に行きたいけど道がわからないから連れて行って欲しかったけどどうしようか…
聞こえるかわからないけれど、とりあえず呼んでみる。
「あのー」
まあ返事がないわけなんですが、これは無視されてるのか聞こえてないのか…
「外出ちゃダメだって言われてないもんね」
ってことで私、一人で外出しちゃうことにしました。
きっと監視の人は付いてくるだろうし、ダメだったら家出た時に止められるだろう。
何も自分の物がない私は鍵だけを握り締めて外に出た。
目の前に広がる景色はやっぱりというか私の知っているものではない。
慣れない町並みだけれど見上げれば見慣れた青い空。
「空は一緒だなあ」
この青い空もきっと私が知っている空と同じように雲で覆われたり雨を降らせたりするのだろう。
そしてきっとこの物語の主人公であるナルトはこの青い空に輝く太陽のように眩しい笑顔で笑うのだろう。
「会ってみたいな」