Story.W
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どうにかこうにか食事を終えて食後の珈琲を飲む。
ナルト君は「コーヒーは苦くて飲めないってばよ」という事らしいので、珈琲の代わりにアイスクリーム。
嬉しそうにアイスを食べているナルト君を見ていると、私まで嬉しい気持ちが伝染して口元が緩む。
「シオリねーちゃん、ほら」
アイスをすくったスプーンを差し出すナルト君の意図がわからなくて、首をかしげてナルト君と差し出されたスプーンを見た。
「ほら、あーん」
これは食べていいって事で間違いないよね?
ナルト君の「あーん」があまりにも可愛くて、にやけそうになる口元をごまかすように口を開けてアイスを迎える。
口に広がる冷たさと甘さ。
「美味しいね」
「美味いってばよ」
「ナールト、俺にはなーいの?」
「カカシ先生ってば甘いのダメじゃなかったか?」
「んー、甘いの苦手だけど、今は一口食べたいかな」
「よくわかんねーってばよ」
ブツブツ言いながらも、ちゃんとはたけカカシ氏にスプーンを差し出すナルト君。
ナルト君は可愛いけど、あーんされてるはたけカカシ氏はちょっと…
できるだけそちらを見ないようにして珈琲のカップに口をつけた。
「シオリちゃん」
「何でしょう」
「間接キスだね」
「そうですね……って、はああああああああ!?」
「コレ」と言いながら、はたけカカシ氏が指差したのはナルト君が持っているスプーン。
指差された瞬間、口に入れていたスプーンをアイスごと口から出した。
ナルト君、汚い。
「カカシ先生、変な事言うなってばよ」
「変な事って、俺は事実を言っただけだーよ」
「いいえ、充分変な事だと思います」
「俺もうこのアイス食えないってばよ…」
「大丈夫だよ、ナルト君。新しいスプーン持って来てあげたよ」
「シオリねーちゃんサンキュー」
「俺の扱い酷くない?」
「「別に」」
何だか凹んでしまったはたけカカシ氏に関わるのも面倒なので放置。
ナルト君にあーんしてもらいながら2人で食べたアイスは、いつもより美味しく感じた。
(じゃあそろそろ帰るね)
(シオリねーちゃん、またな)
(ナルト君おやすみー)
(おやすみなさいってばよ)
(はたけさん帰らないんですか?)
(……カエリマス)