Story.W
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呼び出しは救援要請を出してきた小隊の救助に向かうものだった。
現場についた時には、かろうじて立っていたのは一人だけであとはどうなっているのか見ただけでは判断できないほど血まみれだった。
その血まみれの仲間を守ろうとクナイを構えていた人物は、俺たちの存在に気づいた瞬間に足元から崩れてしまう。
そのまま気を失ってしまったようで動かなくなってしまった。
周りにはまた10人ほどの気配があって、油断できない状態に空気が張り詰める。
俺も額宛てをずらして左目の写輪眼を発動させる。
救援に向かったのは俺を含めた2小隊だったが半分以上が中忍で、相手はどうも抜け忍の集団のようで苦戦を強いられた。
どうにか敵を片付けた時には俺はチャクラ切れ寸前で、怪我人も数人でている。
「大丈夫ですか?」
「ああ、俺よりもアイツらを見てやってくれ」
一緒に来ていた奴にそう言ったところまでは覚えているが、気がつくといつも恒例となりつつある病室にいた。
いつもより重く感じる体に軽いチャクラ切れだなと判断する。
風で揺れるカーテンの向こう側はいつもと変わらない里がある。
誰かの気配を感じてドアの方を向けば、開いたドアから綱手様が入ってきた。
「軽いチャクラ切れだから今日1日安静にしていれば動けるようになるだろう。動けるようになったら帰ってもいい」
「はい」
「明日もう1日休んで明後日からしっかり働いてもらうからね」
「…わかりました」
明後日から馬車馬のように働かされそうな予感はきっと当たっているだろう。
言うだけ言って出て行く綱手様の背中をみつめながら思うのは彼女のこと。
何でこんなにも彼女のことを考えてしまうのかわからないけれど、無性に会いたくなってしまうのはなぜなのだろうか。
俺になびかないのが珍しいだけ。
ただそれだけのはずなんだ…