Story.W
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いつもと変わらないはずだった。
ナルトの話を聞きながらいつの間にか眠りについていて、朝起きて朝食を作って任務に行くナルトを見送る。
軽くナルトの部屋を掃除してから一度自分の部屋に戻って仕事へ向かった。
今日は仕事に集中できなくて失敗ばかりして、最初は怒っていた主任もここまで失敗を繰り返す私を心配しだしてしまった。
いつもなら絶対にしないミスの連発に私自身も参ってしまっている。
命を預かる現場で仕事をしていてこれではダメだとわかっているのに、いつの間にか考えているのは奴の事だった。
今まで恋愛をしてこなかったわけではないのでこの状態を理解できていないわけではない。
ただ自分が認めたくなくて、そのせいで仕事に集中できずにミス連発。
なんであんな奴のことなんか…これは気の迷いであると思いたい。
これは昨日抱きつかれたりしたからちょっとビックリしてるだけだ。
少し時間が経てばいつもの私に戻れるはず。
そう考えてる今も頭の中をかき乱すのは銀髪のアイツなわけで、これはもしや重症なのかもしれないと自分に危機を感じた。
×××××
あれから何とかどうにか仕事を終わらせた私はとぼとぼと家までの道を歩いている。
もう色々と限界を迎えようとしている私は早く家に帰りたいという気持ちだけで何とか歩いていた。
ミスしまくったせいでいつもより更に遅くなってしまったので、今日はナルトのところに行けない。
ほとんどのお店が閉まっている商店街を買い物をすることなく通り抜ける。
やっと辿り着いた家に足を踏み入れた瞬間、電池が切れたように玄関に座りこんだ。
服が汚れてしまうとか鍵閉めなきゃとか思ったけれど動く気になれなくて、ドアに背をあずけて膝に顔を埋める。
そのまま重くなってきた目蓋によって視界をさえぎられてしまった。