Story.V


□第十六話
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あの後ちょっぴり不機嫌になった私を見て綱手様が苦笑しながら住む場所は用意してくれている事を教えてくれた。

ちなみにアオイの変化は綱手様にはバレバレだったようで、変化を解いたアオイを見た綱手様は一瞬だけ目を見開いて『綺麗な銀髪だね』と言った。

褒められたと思ったアオイはきゃっきゃ喜んでいたが、私にはその裏に何か含みを感じて情けない顔になってしまった。

綱手様に渡された地図を見ながらこれから我が家になる場所へ向かっていると懐かしい後姿が見えた。


「…シカマル」


誰にも聞こえないような小さな呟きだったはずなのに、タイミングよくというか悪くというかシカマルが振り返った。

しっかりと目が合ってしまった私は曖昧に笑うしかできなくて、そのままこちらに近づいてくるシカマルにますます焦ってしまう。

目の前まできたシカマルは前よりも背が伸びてもう立派な男の人になっていた。


「久しぶりだな」

「そうだね。元気にしてた?」

「ああ。…いつ帰ってきたんだ?」

「今日、さっき綱手様に挨拶してきたとこ」

「そうか。で、この子が…」


アオイに視線を向けて聞いてくるシカマルに軽く頷く。

まん丸な薄いブラウンの瞳が私とシカマルを交互に見てにっこり細まった。


「おにーちゃんママのおともだち?」

「ああ、シカマルってんだ」


しゃがんでアオイと同じ目線になり名乗ったシカマルに嬉しそうに笑うアオイ。


「如月アオイです」

「ちゃんと自分の名前言えるのか、えらいなー」


栗色の髪をシカマルにわしゃわしゃ撫でられて、きゃっきゃ笑ってアオイのテンションはますます上がる。

アオイを抱きかかえて高い高いをしてくれるシカマルの優しさは昔と変わらなくて懐かしく思う。


「帰ってきたばっかで住む所あんのか?」

「それは大丈夫。綱手様が用意してくれてるの」

「まあ、何か困った事があったら頼ってくれてかまわねーから」

「ありがと」


アオイを降ろして「またな」と手を振って去っていくシカマルにブンブンと手を振るアオイは本当に嬉しそうで私まで嬉しくなる。


「さて、暗くなる前に新しいお家見に行こうか」

「あたらしーおうちー」


下がる事ないアオイのテンションに苦笑して、再び手を繋いで歩き出した。


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