Story.V
□第九話
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私とシカマルの関係は内緒…というわけじゃないんだけど、何となく誰にも言ってない。
誰にも何も聞かれないのに自分から言うのも恥ずかしいんだよね。
シカマルも誰にも言ってないみたいだし、みんなの前でも今までと変わらないから本当に付き合ってるのか?と思う事もあるくらいだ。
だけど、任務のない夜にこっそりやって来ては話をして甘い甘い口付けを与えてくれる。
それだけで幸せを感じる事ができて、シカマルは本当に私を大切にしてくれている。
私が入院していた1ヶ月弱、色んな人がお見舞いに来てくれてシカマルがいてくれてあっという間だった。
当然と言えば当然なのだが、カカシは一度もお見舞いには来てくれなくて…いや!来なくて正解なんだよ。
そして退院したのが3日前。
任務はまだ駄目だと綱手様に言われたので大人しく家にいるのだが、これがまた退屈で退屈で…。
抜け出そうかなと考えた事は数え切れないくらいだけど、見つかった時のことを考えると恐くて出れない。
「これでも私、上忍なのに…」
ガックシとカーペットの上でうな垂れていた私の頭上からクスクスと笑う声が聞こえる。
「いつの間に入ったの?アンコちゃん不法侵入って言葉知ってる?」
「まあまあ、この団子あげるから元気だしなさいよ」
「お団子貰って元気出るのはアンコちゃんぐらいだよ」
小さく溜め息をついて立ち上がり、尋常じゃない量の団子を抱えたアンコちゃんを見てまた溜め息がでた。
「アンコちゃんそれだけ食べて太らないなんて羨ましい。というか羨ましい通り越して腹立つー」
「あはは。シオリ細っこいくせに、またダイエットとかしてるの?あんたはもうちょい太った方がいいくらいよ」
「胸に脂肪ついてくれるなら喜んで体重増やすんだけどね…ちょっと分けろー」
アンコちゃんに飛びつきながら言えば、あの豊満なお胸で受け止めてくれましたよ。
なんだか虚しくなってきたのでお茶を入れる為にキッチンへ移動する。
「あんた安静にしなきゃなんないんだから、お茶なら自分で入れるわよ」
「ずっと何もしないでいたら体なまっちゃうよ。お茶入れるぐらいどーもないからリハビリだと思ってさせて?」
「じゃあお願いするわ。よろしくー」
笑顔で団子を持った手を振るアンコちゃんに軽く頷いてからお茶を入れた。
ソファに座って2人並んで食べるお団子は美味しいけど、アンコちゃんの口の中へ次々と消えていく団子の量は何度見ても驚いてしまう。