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□言いはしないけど
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「あ…雨降ってきやがった」

帰ろうとして昇降口を出ると眼帯をしていない左目に雨粒が落ちてきた。一歩戻って屋根に入って傘たてを確認。

「…傘忘れた」
(しょーがねーな…走って帰るか)

「佐久間ーっ!お前もしかして傘忘れたのか?」

 (やっかいなのが来たな…)
「ちゃんと天気予報見なきゃだめだろー…まったく」
「うるせーな…練習ないんだし用がないなら早く帰れ」
「用ならあるぜ。お前を無事に家まで送ることとか」
「なっ…そんなんいつ決めたんだよ」
「俺の日課にした!…ってことでさ、帰ろーぜ!ほら傘あるし」
「そんなに降ってねー…!」
思ったより強く降ってきていた雨を見て、言葉を失った。
「よし!帰るぞ」
「……」

   * * * *


 さて、いつ逃げようか…

「なあ」
「…んだよ」
人がどうやって逃げようか必死に考えてる時に…
「お前濡れてるぞ?やっぱもっと寄った方がいいと思うんだけど」
「…っ…別に気にしてねーから大丈夫だっ!」
「そうか…?あ、そうだ」
「…な」
気づいたら傘を持たされていた。
「これで濡れねーだろ!」
「っ馬鹿…お前が」
「へーきだって!さ、早くかえんねーと俺が風邪ひくぜ?」
「いちいちめんどくせーな!!」


 なんだかんだ言ってもこいつのが明らかに濡れてるし。早く帰るとか言いつつ俺に歩くの合わせてくれてる。


「……」
「?」



 なにも考えてねーのかな…ほんと馬鹿だな…人のことばっかで。
優しすぎる、こいつは。
自分のことなんて考えてないみたいで

   
「ほら」


 思いっきり腕のばして源田の頭までちゃんと入るように傘を上げてみた。勿論自分も入るように考えて。

ちゃんと入れよ、って

言いはしないけど



心の中でつぶやいて 









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 雨の日ネタ多いな…と改めて思ったのですが、毎回源佐久だ…とも感じました。
 昔書いたあれなんで(多少アレンジしましたが…)懐かしいですね。そして源田がアホだ…(天然すぎて)


 
ありがとうございました!!
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