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□好きの理由
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「佐久間は、なんで源田のこと好きなんだ?」
唐突に風丸に聞かれた。たまに恋愛(?)相談にのってくれている風丸だが、まさかそんなこと聞かれるとは思ってもみなかった
「い…いや別に…」
「大丈夫だって。本人には言わないからさ」
「…そ…そうかよ」
「好きなとことか、聞かれたらすぐ答えられるもんか?」
「さあな。考えた事なかった…」
言われて初めて気づいた。
俺はあいつの 何が好きだってんだ?
よく考えてみると不思議だった。男だぞ俺は。特に理由もなくこんな事になると思うか?きっかけはなんだっけ。
「忘れたな…」
そんなのありかよ、と笑う風丸を横目に考えてみた。
俺は…
人間が好きじゃなかった。
めんどくさい。集まればなにかとうるさいし。人を見た目で判断したり、嘘だってつく。気を使わなくちゃいけないし。
孤立していた。のかもしれない。
人と関わるのが嫌で。勝手に壁をつくってたのかもしれない。
でもあいつに会って、色々変わったのかもしれない。最初はいつもの奴らと変わらない
あぁ、こいつもか。って
味方なんていない。だったら一生自分のために生きてやろうかって、それぐらいの気持ちでいたのかもしれない。
帝国学園に入っても何も変わらない。
やっぱりみんな敵だった
でも。あいつは違った。
手を差し伸べてくれた。最初はおせっかいとか、同情とかそんなもんかと思ってあしらってたけど。
ずっとずっと。
「なーなー佐久間!」
「……」
しつこいなんてレベルじゃない。
「お前、変わった奴だなー!」
「お前に言われたくねーよ!」
「お、しゃべった」
「!!」
いつも。いつも
「なんでそんなに俺にこだわるんだよ…ほっとけよ」
「?」
それなのににこにこ笑って。
「だってお前いつも一人じゃん。だから俺がついててやるよ」
「そんな無責任な事いうなよ!!そうやっていつも嘘ついてみんないなくなるんだろ!!
俺じゃなくたって…他にもいっぱいいる…だろ…」
そうだ。こいつは素直すぎる。きっと他の奴にだって同じ事…
「お前じゃなきゃ、やだ」
「っ………?!」
「俺は、お前だけを…
一人にしたくない。」
「はぁっ…!?…お前馬鹿か!何言ってっ…」
いつもにこにこ笑ってるだけの馬鹿だと、思ってた。でもそこにはいつもと違うあいつがいて、まっすぐにこっちを見ていた。
「駄目か?」
「〜〜〜〜〜っ!!」
勝手にしろ馬鹿!!
雲ひとつない空を見上げて、いつかあいつは言った。
「世界は広いんだぞー!もっと広げた方が、絶対楽しいって!」
「だって…俺なんかじゃ…」
「俺が見せてやるよ」
「?」
「お前の見えない右目の分も。一人じゃ見えない世界も」
俺が見せてやる_________
いつのまにか。当たり前になってた。
あいつがいて、俺がいて。
「素直で、まっすぐな奴が好きなのかも…しれないな。」
頭がいいとか悪いとか。そういうんじゃなくて。何にも考えてなさそうでいつも自分のこと考えてくれてる、
そんなあいつが
好きなんじゃないかな