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□つかめないもの、全部
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 ねぇ、どこの高校行くの?

そんな話題で持ちきりの教室に嫌気が差して空を見上げる。

「めんどくせーな…」

源田は、と視線を向けると辺見たちとやっぱりその話題で話し合っていた。

「お前高校とかどーすんの?」
「いやぁ…実はまだ決まってなくてさ」
「お前こないだも同じこと言ってたぞー大丈夫かよー」

 はっ。どーせお前もそんなことだろーと思ったよ。…でも最近思う。


 これからどうなるのか。

 そりゃサッカーできるとこに行くけど。でもそんなんいっぱいあるわけだしな…
 今の帝国メンバーでずっと一緒に試合できないだろうってのも現状で。
だからと言ってお友達同士一緒、だなんてアホなことはしたくないし自分のことでいっぱいだろうし。

高校行ったら忙しくなんのかな…


そしたら、毎日こんなふうにのんびりもしてらんないだろうし、
 
 あいつだって どうなるか


「さっくまー!!」
「!!?」


不意に後ろから伸びてきた腕に捕らえられる。

「なーなーお前高校どーすんだ?」
「うるせーな!…かんけーねーだろ」
「なっ…関係ないことはないだろ!!」
「佐久間とおんなじとこにしてやろーか」


「…っるせーな!お前はどうせみんなと同じとこ行くんだろ!!」


あ 何言ってんだ俺


「佐久間?…」



急に目頭が熱くなった気がして
教室を飛び出して水道まで走る。今頃噂されてんな、とかなんであんなこと、とか色んな想いがこみあげてくる。




分かってたんだ

全部




それで 怖くなって



離れて なくなっちゃうんじゃないかって
みんな  




  あいつも


でも


それでも繋がっていたくて

でも

全部なくなっちゃうんだ、って

 蛇口をひねると勢いよく水が流れ出た。
それと同じように今までの思い出が色々思い出されて。馬鹿やって、笑って。間違って、行き止って。いっぱい練習して、ゴール決めて。

今更、時の流れを恨んだ。




 水道から流れ出る水がまるで俺たちの時間のようで。両手に溜めておきたくてもどんどん流れていく。

「と…まれ…よ…!」


どうにもならない流れを止めようと両手に溢れる水を力いっぱいにぎりしめた。
 

  なんか悔しくて

「誰か止めてくれよ…っ」


 きゅっ…
誰かが開きっぱなしの蛇口を閉めた。と同時に後ろから抱きしめられる。慌てて振り返るといつものあいつがいて。

「!!」
「全部俺が止めるよ」
「げんっ…」

開きかけた俺の口は源田の唇で塞がれた。

「ずっと流れないように…忘れないように止めといてやるよ」


「………りがと…」

ありがとう…



「使ったらちゃんと止めなきゃだめだろ?」

そう言って俺の目元の涙にそっと触れた。

「うるせーな……」




  お前が止めて くれるんだろ?







_________



 なんだかんだでみんな同じ高校になると思いますが。
帝国様御一行みたいな…


ありがとうございました!!
 

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