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□身長差
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文化祭が終わった。…人がたくさん来て、騒がしくて。疲れた。(俺はあんまり仕事してなかったが)
まあそんなわけで教室の片付けの最中だ。
(あんな文化祭でも終わるとさびしいもんだな…)
片付けぐらいはちゃんとやるか、と思っていると女子から廊下側の窓の上の方の飾りをはずしてくれと頼まれた。机の上に乗ると、廊下を行き来する生徒が見える。上を見るとキラキラした飾りが随分高い位置についている。
(付けたの誰だよ…はずす奴のこと考えてんのか…)
もう少し身長があれば楽なのにな…その分あいつはうらやましいと思う。背も高いし、力もあるし。
「源田君こっちの持っていってくれる?」
「おう、分かった」
なんだよ。そんなもん俺にだって運べるっての。確かにキーパーと違って腕力は少し劣るかもしれないが俺だって男だ。そういう力仕事任せてくれたっていいのに。
(あー首痛てー…あと5センチぐらい高けりゃな、ほんと。)
集中して上の飾りを取ろうとするが、なかなか届かない。
(…俺への嫌がらせかよ…)
あと少し、と背伸びしたところで
ガタンッ
「佐久間君危ないっ!!」
「え?……っ」
落 ち る
女子の悲鳴が聞こえる。ドアが開く音と風を切る音と。
「ってぇ……」
って…あれ。目を開けると普通にみんなが見えた。どこも痛くない。
(頭から落ちたんじゃないのか…)
「…間」
「…?」
「間に合った…」
「げ…源田ぁ!?」
歓声が響きわたる教室に、源田に抱えられた状態で今の状況を理解しようと考える。
・・・
「佐久間!お前…っ…よかった!!」
「は!?なんだよ離れろ…ってか降ろせ!!」
抱きついてくる源田を引き離しつつみんなが元の作業に戻るのを確認すると
「なんでオレに頼まなかったんだよ…!」
「…だってお前忙しそうだったし俺が頼まれたことだし…」
「だから…お前じゃ届かないだろ…」
「うるせーな!だいたい付けた奴がわりーんだよ!あんなとこ付けやがってはずす奴のこと考えてん…」
源田が俺の肩に手を乗せた。何かと思って源田を見ると、決まり悪そうに右手をあげて
「それ…付けたのオレ…」
「おっ…おまえかぁぁぁぁ!!!」
「だからお前じゃ届かないっー…いてっ!おい佐久間!悪かったってば!!」
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文化祭って片付けてるとなんか終わったんだなーって感じがします。
ありがとうございました!!