Main
□冬がきた
1ページ/1ページ
「さみーな…」
今日もいちだんと冷え込む朝。こういう時は手袋って便利だと思う。昨日出してきた黒い手袋を見ながら思う。そう考えるとまあそれなりにグローブも温かいのかな…
そんなことを考えているとエメラルドグリーンの髪が視界の隅に入った。
「お、佐久間!」
いつもの通学路。いつものように見つけた佐久間に声をかける。
「…源田」
「ん?何だ?」
「手。」
突然俺の目の前に差し出された小さな手に驚く。
「寒い。」
ああ、そういうことか。寒いから俺に温めろと。
「分かった分かった。ほら」
手をつかもうとすると手をひっこめられた。
あれ…?
「それ」
「?」
「それじゃあったかくない。」
な な…それは手袋越しじゃ嫌だっていう事か…
「…佐久間ぁー!!!」
「なっ…離れろアホ!」