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□あの日の花
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 「あ。」
 「ん?どうした?」

練習の合間の休憩中ふとベンチの横を見て見つけたのは
 マーガレットの花。

 「懐かしいなー…」
 「覚えてるのか?」
 「もちろん!」
 「ずいぶん前なのによく覚えてるな…」
 「そういう風丸だって覚えてるだろー!」
 「ま…まあな」
 忘れるわけないだろ…


部活の帰り道、円堂といつものように河川敷をあるいていた。
 「なあ、風丸みてみて!」
 「なんだ…」
突然立ち止まった円堂の方を見るとその手には一輪の花。
 「これ風丸にあげる!」
 「…は?」
 「だからー…この花あげるってば」
 「あ…あぁ(なんで俺に…)」
 「なぁ風丸、そういえばこの花なんて言うんだ?」
 「…マーガレットじゃないか?」
 「へぇー…風丸はなんでも知ってるんだな!」

中学生になってまで道端の花摘んで人にあげるって…なんなんだこいつ。
やっぱ昔から思ってたけど変わってんな…
…ってか普通知ってないか?

 「ただいま…」
家に帰ると荷物をおいて、いつもどおりに部屋に入ろうとドアノブに手をかけて、気づいた。

あ…そうだ
左手にはさっきの花。
   これ、どうしよう…
とりあえず適当なコップに水を入れて花をさしてみた。
花…か。
 花なんてもらったことないからな…
コップに寄りかかるマーガレットを見ながら思った。円堂の笑顔が思い出される。なんだかうれしくなって、なにを喜んでんだと自分に問いかけた。
 


 次の日 帰り道

あの花…いつかは枯れちゃうのだろうか。
まあ命あるものはいつかは枯れるわけで。 
枯れる前に押し花にしようかという案もあるがさすがに中二男子のやることじゃないだろ。
かといって捨てるときどうすればいいんだ?ごみばこはさすがにな…仮にももらいものだし…
あ、庭にそっとおいとけば…って墓かよ!…

「な…なぁ風丸」
「!?」
円堂が唐突に話しかけてきたのであからさまに驚いてしまった。が、円堂には気づかれていないようで少しほっとした。
 
「なんだ?」
「あの…昨日あげた花、あるだろ?」
「ん、あぁあれな。元気だぞちゃんと茎切ってそろえてやったし水も替えてるから」
「あ…おう」
「?…」
「あれなんだけどさ」

  花言葉、 ”真実の愛” って言うんだって



へぇー…よく調べたなお前普通だったらめんどくさがって…
   って…えぇぇぇっぇぇ!!?
頭の中でさっきの言葉がぐるぐる回る。一瞬どころかかなりの時間停止していた気がする時間が動き出す。

「………」
「そうか、知らなかったもんな」
「い や 知ってても風丸にあげて た か も」
「…!!…」
「オレ気付いたんだ……風丸のこと…好きだ!!」
      好 き だ

 え…円堂が 俺のこと…好きだ って…!

「円堂…」
「?」
「俺以外の…他のやつにその花やったら許さないからな!!!」
「…お、おうもちろんだぜ!!」




(あれ?俺もそうかもって言おうと思ったのにな…まぁいいか…)



 夕焼けはいつも以上にオレンジで
隣に居るオレンジのバンドが眩しく見えた

 だから紫色の方の空を必死に見て帰った













「なんで花言葉なんて調べたんだ?」
「帰り道のこと話したら母ちゃんが花言葉は色々あるっていうから…嫌いとかいうのだったらやだったから…」
「そ…そうか…///」
 

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