text-Naruto

□太陽はごきげん
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「ピンク色の髪が踊っている。
「サクラ、」
アカデミーを卒業して5年。
つややかな桃色の髪は相変わらずのボブスタイルだが、すらりと伸びた手足や、美しい肌は、少女と女性の中間にあたるのだろう。
素直にキレイだと感じた。
女の子は変わるなぁ、なんてしみじみと爺くさいことを考える。
「ハッピーバレンタイン!イルカ先生っ」
にこっと笑ってサクラが差し出してくれたのは、ふわふわのリボンが結ばれたバレンタイン・チョコレート。
「えっ?!俺に?」
「そっ!!大好きなイルカ先生に☆」
「うわー、嬉しい。ありがとな、サクラ」

校門を過ぎて、サクラはぺロリと舌を出した。
「だってツマラナイじゃない?バレンタインデイに一人きりだなんて。
熱々カップルを邪魔してやりたくもなるわよ」

「…イルカ先生、コレ何…?」
「あぁ、サクラから貰ったんです。バレンタインだからって」
嬉しそうに笑うイルカ先生が憎らしい。
「別に変な意味じゃないですよ。サクラはサスケが好きなんだから」
「それは分かってるけど…」
自分でも心が狭すぎると自覚してはいる。
大事な教え子に嫉妬するなんて。
「ねぇ、コレは…?」
「それはアカデミーの同僚からです。あとは、商店街のおばちゃんからとか、去年の教え子からとか…」
イルカの家のちゃぶ台に置かれているのはざっと20個ほどのバレンタインチョコレート。
「教師なんだから仕方ないんですよ。それに全部義理チョコですし」
「ふーん…」
「そういうカカシさんだって、貰ったんじゃないですか?チョコレート」
「おれは貰ってないですよ」
「えっ?!1個も?」
そんなことがあるはずは無い。
車輪眼のカカシは木の葉中の女性の憧れの的だ。
「俺は全部お断りました。大切な人がいますから」
熱い目で見つめられて、俺は言い返すことも出来ない。
いつだってカカシ先生にはやられてばかりだ。
なんで、この人は俺なんかを好きになったんだろう。
ホントに人生は分からない。
「俺だってカカシ先生が好きです」
照れくさくてなかなか言わないが、今回ばかりはきちんと伝えた。
「…ホントに?」
かっこよくて、強くて、やさしくて。
「ね、もっかい言って!?」
バカで、エロくて、おまけにしつこい。
おれの、最愛の人。


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