SPATIAL

□ゆうやけこやけ
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太陽が沈む少し前

辺りは、オレンジ色


今日はお使いで外に出て、途中までは龍馬さん達と一緒に居たけど、今は一人。

用が終わったらここで待ってるように言われて、だんだんオレンジ色に変わっていく空を、一人でこの神社の石段に座って眺めていた。

遠くで、お寺の鐘の音が響き、すぐそこでは、カラスが鳴いている。


だぁれも、通らないなぁ…
通ったら通ったで…厄介だけど…


耳に入ってくる、一日の終わりを告げるような音色に、少し心許なくなってきた丁度その時、太陽が沈む方から誰かが歩いてくるのが見えた。
逆光で、よく見えないけれど、私に向かって手を振っている。

「すまん、待たせてしもうたようじゃ…!」

その声を聞いて私はすぐに立ち上がり、小走りで近づいてくる龍馬さんに近づいた。

「いいえ、大丈夫です、待ってないです!」

私を見下ろす龍馬さんにそう言うと、龍馬さんは私の頭を優しく撫でて笑った。

「ほうか…ほいたら、帰るとするか」

「はいっ」

顔を見合わせて、お互いににっこりと笑い沈みかけの大きな太陽に向かって歩き出す。
歩く後ろには、長くのびた影が一つになるように重なっている。

「ずいぶんと、日が短くなった…」

「もうすぐ、冬ですねぇ。日が傾くと、少し肌寒い…」

なんて言って手を擦り合わせると、龍馬さんはすぐに私の片方の手を取った。

「これなら、ちくたぁ、ひやくないろう…」

ぎゅうっと、握り締めて笑う。

「…はい」

微笑み返すと、嬉しそうに頷いて、また前を見て歩き出した。


手を繋いで歩く。


頭上で聞こえるカラスの鳴き声にふと顔を上げると、オレンジ色と濃紺が溶け合う空に細い細い三日月と、星がひとつ、きらきらと煌めいていた。

「一番星です、龍馬さん…!すっごい、綺麗ですよ!」

「ん…?あぁ……」

興奮して、繋いだ手をぶんぶんと振る私を見て、龍馬さんは目を細めてくすくすと笑っている。

「まっこと、綺麗じゃね…」

「明日も、晴れますね、きっと」

「ほうじゃね、えい天気になりそうじゃ」

二人で空を仰いで、また、顔を合わせて微笑み合う。





さぁ、ゆっくりと

おててつないで帰りましょう











ゆうやけこやけ

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