君と僕。
□足りない色を君にあげる
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目が、合って。
吸い込まれそうなほど透き通った瞳に、私が映る。
少し困惑しているような、そんな表情をした。
ああ、泣きそう。
「…しゅん、…ちゃん……」
「……人を愛するというのは、こういう気持ちなんですね」
そっと触れ合った口と口が、ふわふわした感覚を全身に巡らせていく。
微かに動くと触れ合いそうな肌と肌の距離に、彼は照れ臭そうに目線を逸らした。
「…だいすき」
「……僕もですよ」
柔らかな桃色の短い髪に指を絡ませる。くるくるして、くすぐったい。
しゅんちゃん、だいすきだよ。
そんな想いを込めて、今度は私から。小さく、触れるか触れないかのキスを贈る。
絡ませた指と桃色のそれはそのままに。
ねえしゅんちゃん、あたたかいね。
見つめ合えば、今すぐに泣きだしそうなほど、お互いの瞳は揺れていた。
絡みついた桃色の糸が融けるように、この指から解けていく。
彼の首元へ両腕をまわし、ぎゅっとしがみ付くように抱きついてみる。
そうしたら、ゆっくりと遠慮がちに、だけどしっかりと背中にまわった両腕が。
嬉しくて、切なくて、悲しくなって。
しゅんちゃん。
もう、無理だよ。
意味ない誰かを愛した証
(だけどまだ、ほら、こんなにも温かかったのに)
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