牧場物語
□レモンガール・オレンジボーイ
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ほら、恋するオトメはキラキラしてるって、よく言うじゃない?
「じゅ、ジュリ?どう?おかしくない?」
アタシ好みのワンピースを着飾って、裾をひらひらとさせ一回りした彼女は、そう問いかけた。
「ええ、とても似合ってるわヨ」、なんて。
そう思う気持ちと、そうとは認めたくない感情が交差しているのは確かである。
「そう、よかったー」
ほっと、息を吐くのと同時にそう答えた彼女は、後に頬を赤らめて、小さくそっと微笑んでいた。
まったく、その微笑みは、一体誰に向けているものなのかしら?
アタシの家の扉をぶち壊すかのような勢いで入ってきた彼女、アカリは相当息をきらしていて。
「…っ、ジュリ…!あ、あのね、お願いがあるの…!」
ちょうど、その日は木曜日でコトはお休みの日。
だからアタシは、久しぶりに家でリラックスしていた。
身に着けている宝石たちを丹念に磨き上げ、テーブルに飾るバラを取り替えて、
紅茶の香りに酔いしれるよう、ティータイムを過ごそうと思っていた瞬間だった。
「……あ、アカリ?え、ええ………一体何かしら?」
「その、ね!私に、お洒落というものを教えて欲しいの!ファッション、コスメ、メイク、コーディネート……、
とにかく、ジュリの知ってる範囲なら何でもいいの!全部!全部教えて!」
まだまだ暑い、ある夏の日のことだった。
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