零崎一賊の最愛家賊

□3.通り名
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「双識、兄さん。」

「ん?何だい、絃識くん。」


後から追い付いた双識と軋識、曲識から怪我の応急処置を受けつつ、花月は双識に聞いた。


「あの二人が言っていた、《人類最愛》って・・・?」

「あぁ・・・。銀識君の通り名の一つだよ。《人類最強》と並ぶ程有名でね。彼は、特別な人間ばかり集まるような裏世界でも、飛び抜けて特別なんだ。《最哀にして最愛の悪魔》と呼ぶ人もいる。」


彼自身、そんな自覚は無い様だけど、と言って双識は笑った。
気が付くと、赤屍がこちらに戻ってきていて、遠くに、赤黒い何かが見えた。
恐らく、先程の兄弟だろう。
一体何をどうしたら、あんな風になるのかわからない。
近くに落ちている巨大な剣だけが、それが彼らであった事を物語っている。


「大丈夫ですか絃識クン?」

「うん・・・何とか。」

「家でちゃんとした手当てをしないといけませんね。」


先程の兄弟に向けた笑みとはまた違う、優しい笑みで、赤屍は花月を抱きあげた。


「それから、特訓もしないと。あの程度にやられるようでは、この先持ちませんよ?」

「う、うん・・・・。」





(父上・・・母上・・・・。)


(どうやら僕は、とんでもない世界に仲間入りしてしまったようです。)


(この先、ちゃんと生きていけるでしょうか?)


(不安で・・・なりません・・・・・。)





そんな事を考えながら、花月は眠った。





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